高齢の父、最近物忘れがひどく…「信託」を活用した財産管理法を税理士が解説 (※写真はイメージです/PIXTA)

親が高齢になって判断能力が衰えると、親族でも親の預金を自由に引き出すことができなくなり、後見人を選任して財産の管理を依頼する必要が出てきます。今回は、「信託」を活用してこのような問題を解決する財産管理法を、税理士が解説します。※本連載は、笹島修平氏の著書『信託を活用した新しい相続・贈与のすすめ 5訂版』(大蔵財務協会)より一部を抜粋・再編集したものです。

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高齢になった親の財産を管理するには「信託」が有効

Q. 私の父は、最近物忘れがひどく財産の管理が難しいのではないかと不安です。さらに状態が悪くなってしまうと後見人を選任しなければならないのではないかと心配です。なにか事前にできることはないでしょうか。

 

A. お父様が、財産の処分をすることができるうちに、お父様の財産を信託して、受託者がお父様に代わって財産を管理できるようにしておくと良いでしょう。さらに、信託契約の中で相続が起こった場合に受益者を誰にするか等も検討しておくと遺言と同じ効果を得ることができます。

 

 

今や日本は世界有数の高齢化社会です。そして、財産を所有しているのは高齢者であることが少なくありません。高齢になって、認知症が進んでしまうと、一切の法律行為ができなくなってしまいます。そうなってしまったら、後見人を選任して、財産の管理を依頼しなければならなくなることもあります。

 

親族等が裁判所へ手続きをすることが必要になり、後見人が毎年財産の内容を裁判所に報告しなければなりません。財産の処分は後見人の同意のもとで行わなければならなくなります。

 

例えば、親族等が株式を売却したいと思っても、すぐに売却することはできなくなり、売り時を逃してしまうかもしれません。また、贈与は原則としてできなくなります。後見人は、被後見人(お父様)の財産の保全と管理が職務ですから、一方的に財産をあげてしまうことを認めてはくれません。したがって、相続対策の贈与や、子供の住宅資金の贈与はできなくなってしまいます。

 

以上のことは、信託を活用することで解決できます。もちろん、認知症が進んでしまって法律行為ができなくなってしまってからでは信託をすることもできません。したがって、そのようになってしまう前に財産を信託することが必要です。

 

ご両親にそのような話をするのは決して楽しいことではありませんが、場合によっては、親身になってくれる専門家に説明してもらいながら信託を進めても良いでしょう。

 

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株式会社つむぎコンサルティング
代表取締役

株式会社つむぎコンサルティング公認会計士・税理士。昭和44年神奈川県生まれ。平成5年慶應義塾大学理工学部卒業。東京大学大学院理学部中退。平成6年太田昭和監査法人(現新日本有限責任監査法人)にて、監査業務に従事。平成11年公認会計士・税理士登録。株式会社タクトコンサルティング入社。平成13年~平成17年慶應義塾大学非常勤講師「戦略的税務会計特論」にて、企業組織再編・M&A・事業承継・相続等の教鞭を執る。平成19年中小企業庁「相続関連事業承継法制等検討委員会」委員。平成24年株式会社つむぎコンサルティング設立。

著書に、『資産税の盲点と判断基準 改訂版』(大蔵財務協会)、『信託を活用した新しい相続・贈与のすすめ 5訂版』(大蔵財務協会)などがある。

著者紹介

連載税理士が事例で解説!「信託」を活用した相続の基礎知識

信託を活用した新しい相続・贈与のすすめ5訂版

信託を活用した新しい相続・贈与のすすめ5訂版

笹島 修平

大蔵財務協会

信託は、従来型の相続や贈与による資産及び事業承継の限界を超えるものとして近年注目されてきている。 本書では、遺言書と信託契約の内容が抵触する場合や遺留分を侵害する信託の論点、信託の併合と分割の課税関係や再信託…

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