50歳社長、長男に株式を贈与したい…でも経営は任せられない【税理士が解説】 (※写真はイメージです/PIXTA)

相続対策を兼ねて株式を「贈与」したあとも、自分で経営を続けることはできるのでしょうか? 「信託」を使って実現させる方法を、税理士が解説します。※本連載は、笹島修平氏の著書『信託を活用した新しい相続・贈与のすすめ 5訂版』(大蔵財務協会)より一部を抜粋・再編集したものです。

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「信託」を使えば、贈与した株式を継続して管理できる

Q. 私(Aさん)は会社を創業して20年が経ち、今年で50歳になります。幸いにも業績は良く、会社の株式の評価額が毎年増加しています。今後も株式の評価額が上がっていきそうなので、思い切って長男に株式を贈与してしまおうと考えています。

しかし、以下のことが不安で贈与に踏み切れません。何か良い対応策はないでしょうか。

・長男はまだ28歳で昨年結婚したばかりです。経営を任せられるようになるにはまだ時間がかかると思います。そこで当面は株式の議決権は私が行使して経営していきたいと思います。

・万が一にも長男が事故で亡くなってしまうと、株式の大半は長男の配偶者に相続されてしまいます。長男の配偶者との関係は良好ですが、長男が亡くなってしまうとどうなるかわかりません。場合によっては長男の配偶者に会社を乗っ取られることになってしまうのではないかと不安です。

 

A. ご質問の場合、株式を贈与する代わりに株式を信託し、受益権を長男に渡せば良いのではないでしょうか。信託の受託者をAさんにしておけば、株主としての権利(議決権)はAさんが行使することが可能ですし、信託行為(信託契約書等)のなかで「長男が亡くなった場合、次の受益者を次男とする」としておけば、受益権が配偶者に行くことも防げます。

 

ただし、株式の価値が高い場合には、長男の配偶者の遺留分を侵害することになるかもしれません。その場合、長男の配偶者は遺留分を主張することができます。

 

[贈与者が財産を引き続き管理する仕組み]
[贈与者が財産を引き続き管理する仕組み]

信託の「受益者」が先に亡くなった場合は?

会社の経営者がこのような悩みを抱えているケースは少なくありません。相続対策を兼ねて税金のことを考えると贈与したいのだけれど、贈与した財産は、親である自分が引き続き管理しておきたいと希望される方が多いのが実情です。贈与する財産が重要な財産である場合は特にそうです。それが良いことなのかどうかはわかりませんが、このような問題に応えるために信託は非常に便利です。

 

例えば、Aさんが所有している株式を信託します。委託者はAさんですが、受託者もAさんにし、受益者を長男とします。Aさんが受託者ですから、株式の所有者はAさんです。信託した後も引き続きAさんが株主として権利を行使することができます。

 

長男は受益権を取得したわけですから、課税法上はAさんから信託財産(株式)を贈与されたものとして贈与税の申告をする必要があります。しかし、長男が有するのは受益権です。株式を有するわけでありませんので株主としての権利は有しません。

 

信託をしておけば、長男が親より先に亡くなった場合、仮に受益権が長男の配偶者に相続されたとしても、株主は引き続き親ですから、会社の経営は親が引き続き行うことができます。

 

ただし、株式から得られる配当金や、株式を売却した場合に得られる資金は、受託者(Aさん)が管理することができますが、経済的価値は受益者(長男の配偶者)に属します。受託者(Aさん)が、信託財産として管理している資金をAさんの個人的用途に消費することはできません。

 

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株式会社つむぎコンサルティング
代表取締役

株式会社つむぎコンサルティング公認会計士・税理士。昭和44年神奈川県生まれ。平成5年慶應義塾大学理工学部卒業。東京大学大学院理学部中退。平成6年太田昭和監査法人(現新日本有限責任監査法人)にて、監査業務に従事。平成11年公認会計士・税理士登録。株式会社タクトコンサルティング入社。平成13年~平成17年慶應義塾大学非常勤講師「戦略的税務会計特論」にて、企業組織再編・M&A・事業承継・相続等の教鞭を執る。平成19年中小企業庁「相続関連事業承継法制等検討委員会」委員。平成24年株式会社つむぎコンサルティング設立。

著書に、『資産税の盲点と判断基準 改訂版』(大蔵財務協会)、『信託を活用した新しい相続・贈与のすすめ 5訂版』(大蔵財務協会)などがある。

著者紹介

連載税理士が事例で解説!「信託」を活用した相続の基礎知識

信託を活用した新しい相続・贈与のすすめ5訂版

信託を活用した新しい相続・贈与のすすめ5訂版

笹島 修平

大蔵財務協会

信託は、従来型の相続や贈与による資産及び事業承継の限界を超えるものとして近年注目されてきている。 本書では、遺言書と信託契約の内容が抵触する場合や遺留分を侵害する信託の論点、信託の併合と分割の課税関係や再信託…

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