(※写真はイメージです/PIXTA)

ペットを飼う高齢者も多いなか、自分に万が一のことがあったときに、遺した資金を使って誰かにペットの面倒を見てもらうことはできるのでしょうか? 「信託」を使って解決する方法を、税理士が解説します。※本連載は、笹島修平氏の著書『信託を活用した新しい相続・贈与のすすめ 5訂版』(大蔵財務協会)より一部を抜粋・再編集したものです。

ペットの飼育を目的とした「信託」を設定する

Q. Aさんは、Aさんが亡くなった後も大切にペットを飼育してほしいと思います。このような場合に信託が活用できるそうですが、どのようなものか教えてください。

 

A. ペットの飼育を目的とした信託を設定することができます。ペットを飼育するために必要な資金を信託し、当該資金でペットの飼育を行うというものです。

 

信託を活用しない場合には、Aさんが亡くなると、当該資金は相続され、相続人の所有物になります。当該相続財産を相続人がどのように消費しようとも、それは相続人の自由です。相続財産の使途を制限することはできません。

 

例えば、信頼できる親戚に「1千万円を遺贈するからペットを大切に飼育してください」とお願いしたとして、当該親戚が遺贈を受けた1千万円を別の使途に消費してしまったとしても、これは仕方がないことになります。

 

このような場合、信託を活用してペットの飼育を目的とした信託を設定すると良いでしょう。また、このような信託には受益者は定められません。受託者は、信託の目的に従って信託された財産をペットの飼育のためだけに消費しなければなりません。このようにすれば、当該資金がペットを飼育するために消費されるという目的を遂行させることができます。

 

受益者の定めのない信託の仕組み
受益者の定めのない信託の仕組み

 

(注)受託法人:受益者の定めのない信託においては、個人が受託者になることはできません。当該受託者については次のように規定されています。

 

「受益者の定めのない信託(学術、技芸、慈善、祭祀、宗教その他公益を目的とするものを除く。)は、別に法律で定める日までの間、当該信託に関する信託事務を適正に処理するに足りる財産的基礎及び人的構成を有する者として政令で定める法人以外の者を受託者としてすることができない(信法附則3)。」

 

そして、政令で定める法人とは以下に定められています。

 

・国
・地方公共団体
・純資産が5千万円を超える法人であり、公認会計士又は監査法人の監査証明を受けていて、なおかつ役員及び監査役等に禁錮以上の刑に処され、その刑が終わり、又は刑の執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者等がいないこと

 

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信託を活用した新しい相続・贈与のすすめ5訂版

信託を活用した新しい相続・贈与のすすめ5訂版

笹島 修平

大蔵財務協会

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