遺言書の内容を確定させるために「信託」を活用する
A. 遺言書は、たとえご親族の皆さんが合意したものだとしても、遺言者(お父様)の意思で、何回でも書き直すことができます。遺言の内容を確定するためにも、信託を活用するといいでしょう。
信託契約で受益権の相続の仕方を指定し、信託契約の中でその内容の変更が親族全員の合意がないとできないように定めておけば、実質的に遺言内容を遺言者が単独で変更できないようにすることが可能です。
遺言書は、遺言者の意思でいつでも書き換えることができます。例えば、長男に全財産を相続させるという遺言書を書いたとしても、その後長男と仲違いしてしまった場合には、新しく遺言書を作って「全財産を長女に相続させる」と書けば、日付の新しい遺言書が有効となり、長男に相続させる遺言は無効になります。
相続人であるお子さん達から、事業承継のご相談を受けることも多いのですが、その場合、相続税も大きな問題なのですが、親の財産を誰が相続するのかがより大きな問題となってきます。遺言書を作成する際、兄弟の関係が良好でない等の理由から遺言書を書き直されてしまうことを不安に感じるお子さんも少なくありません。
遺言の内容は原則として、遺言者(お父様)の意思で作成するものですので、遺言者が自由に変えることができて当然です。しかし、なかには子供が親に無理やり自分に有利な内容の遺言書を書かせるようなこともあるかもしれません。
また、高齢になると正確な判断ができなくなってくることもありますので、遺言書の内容を変更できないようにしたいという希望も仕方ないのかもしれません。
ここで、信託を活用した対応策をご紹介しましょう。
財産を信託した場合、相続により誰が次に受益権を取得するのかを定めることができます。信託契約にその内容を記載しておくと、実質的には遺言と同様に財産の相続の仕方を指定することが可能です。そして、信託契約に定めた内容(相続により受益権を取得する内容)が変更されない限り、信託契約で定められたとおりに相続される(信託契約に定められた者が受益権を取得する)ことになるのです。
もしも信託契約を変更したい場合には、原則として、委託者と受託者及び受益者が合意して行わなければなりませんし、信託契約で別段の定めをしておけば、その定めに従って変更しなければなりません。
したがって、信託契約を変更する場合、相続人全員の同意を得て行う等と定めておけば、勝手に変更されることを防ぐことができます。
注目のセミナー情報
【減価償却】11月20日(水)開催
<今年の節税対策にも!>
経営者なら知っておきたい
今が旬の「暗号資産のマイニング」活用術
【国内不動産】11月20日(水)開催
高所得ビジネスマンのための「本気の節税スキーム」
百戦錬磨のプロが教える
実情に合わせたフレキシブルな節税術