幼い子供や孫に財産を贈与することを検討した場合、どのようにすればいいのでしょうか? また、分割して贈与することはできるのでしょうか? 今回は、「信託」を活用してこの疑問を解消する方法を、税理士が事例を使って解説します。※本連載は、笹島修平氏の著書『信託を活用した新しい相続・贈与のすすめ 5訂版』(大蔵財務協会)より一部を抜粋・再編集したものです。

信託を活用すれば、子供に財産を少しずつ贈与できる

Q. 私(45歳)には、5歳になる子供がいます。妻とは2年前に離婚していますので、仮に私が亡くなった場合には子供に全財産(約3千万円)を相続させたいと思っております。しかし、5歳の子供にはまだ財産の管理能力はありませんので親権者である元妻が財産を実質的に管理することになるかと思います。

ここで、元妻がその財産を子供の教育資金に使ってくれればいいのですが、元妻が個人的に費消してしまうのではないかと心配で、私が亡くなった後、できれば毎年一定額ずつ数年にわたって分割して渡したいのですが、そのようなことはできないのでしょうか。

 

A. 信託を活用すれば、ご希望のような相続をすることは可能になります。

 

 

財産を残したい子供が幼かったり、障害をかかえている等により財産の管理能力がない場合、あるいは子供に浪費癖がある場合には、相続により子供がまとまった財産を取得しても、当該財産がきちんと管理されない可能性があります。

 

信託を活用すると、相続財産が子供に分割して交付されるように設定することができます。例えば、子供には数年にわたって相続財産が分割して分配されることになります。

 

したがって、子供の生活資金は財産が分配される数年間にわたって一定の保証がなされることになります。子供が相続時に全ての相続財産を取得すると、当該相続財産を浪費してしまって将来子供が生活資金に困る可能性もありますが、そのようなことは防止できるでしょう。

 

(例)子供の生活及び教育資金を管理する目的で、私が亡くなった場合には、私の財産(3千万円)を信託会社に対して信託する旨の遺言書を作成しておきます。私が亡くなった場合には、私の財産は信託会社に信託され、受益者は子供となります。信託会社は信託行為の定めに従って、子供の生活及び教育資金として毎年200万円を15年間にわたって子供に支払います。

 

 

笹島 修平

株式会社つむぎコンサルティング 代表取締役

 

 

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信託を活用した新しい相続・贈与のすすめ5訂版

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笹島 修平

大蔵財務協会

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