コロナ禍にあっても、ベトナムの経済成長は止まりません。安定した政治、自由経済、豊富な天然資源、若く豊富な生産労働力等々、多くの強みを備えています。そのような勢いあるベトナムにおいて、いま、外国人投資家による不動産投資にどれほどのうまみがあるのでしょうか。南部ホーチミンを拠点とし、不動産ビジネスを展開する徳嶺勝信氏が、現地の生の情報を分析して、メリット・デメリットに言及します。

 

●市場の見極め…投機的な動きが目立ちはじめ、取引は減少中

 

2017年頃から投機的な動きが活発になり、物件の早期完売や短期転売物件(完成前の権利売り)が増え、新規のプレビルド物件が急上昇し、適正価格での物件購入が難しい状況が続いていました。その後はコロナ禍の2020年中頃より、銀行による不動産融資の貸し渋りと貸しはがしが増加。銀行借入で運用している投機者は損切りを急ぎ、担保の差し押えも多発するなどして、不動産取引は減少中です。

 

●購入後の注意点…最も重要なのは「物件購入後の管理業者の選択」

 

ベトナムで不動産を購入したあと、最も重要になるのが不動産物件管理業者です。ベトナムでは、法を厳守した税務処理を経なければ海外への送金はできません。にもかかわらず、問題が起きてから「後出しジャンケン」的な対応をされるケースも多く、これまで多くの外国人や外資企業が苦慮してきました。したがって、現地の法律や税務に精通し、なおかつ賃貸客付や売却などのトータルな対応が可能な管理業者を見つけることが、ベトナム不動産投資には不可欠なのです。


●悪徳不動産業者のリスク…日本人が窓口だからといって信用し過ぎないで

 

開発会社の販売代理店のなかには、事前販売予約と称して客から物件予約金を預かったまま、返済しない、もしくは返済を遅らせる業者が存在します。

 

その場合、開発会社にクレームをつけても、販売代理店が別会社であることを理由に取り合ってくれない開発会社も少なくありません。回収までの複雑な手配を自分で行うことになるため、多くの人は泣き寝入りすることになります。

 

このような業者に引っかからないようにするには、現地の事情に精通した複数人から、事前に聞き取り調査をすることを強くお勧めします。

 

現地企業のなかには日本人を窓口にしているところもありますが、それに安心して信用し過ぎないこと、おいしい話(そんなものは存在しないか、あっても決して教えません)に乗らないようにすることが重要なのです。

ヒントは「交通インフラの整備」、自身で見て決断を

ベトナムにおける不動産投資の魅力は、ずばり、国の成長にあります。社会主義国ではありますが、安定した政治や自由経済、豊富な天然資源、外資を巻き込んだサプライチェーンの確立、平均年齢31歳という若い生産労働力、所得倍増による内需拡大に伴う都市開発やインフラ整備の加速…。

 

経済成長の真っただなかで、交通インフラの整備が急速に進んでいることに注目です。初めての都市鉄道(近距離)であるため、駅近の利便性が理解されていないぶん、やや離れた駅近、駅直物件が安価で販売されています。このような点から、経済成長を見据えた不動産投資が狙い目です。

 

反面、外国人投資家にとってリスクとなる、法整備や税制の問題のほか、建物の品質、優良物件の見極め、フェイク情報や詐欺等々には十分な注意が必要です。繰り返しになりますが、いま一度ベトナム不動産を購入する前に、現地情報に精通している、信頼のおける複数の日本人から情報を聞き、自分の足で現地視察を行い、メリット・デメリットをよく理解したうえで、ベトナムでの不動産投資を行うかどうかを検討してください。

 

 

徳嶺 勝信
VINACOMPASS Co., Ltd.
General Director

 

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