(※写真はイメージです/PIXTA)

2021年、コロナに翻弄されたベトナム不動産ですが、2022年の動きはどうなるのでしょうか。現地のプロフェッショナルが、市場別に価格動向を読み解いていきます。南部ホーチミンを拠点とし、不動産ビジネスを展開する徳嶺勝信氏が解説します。

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2022年、新規供給に向けた動きが活性化

2021年暮れから2022年明けにかけて、ベトナム不動産市場は最高のスタートを切ったものの、その矢先の急展開に、多くの不動産関係者や投資家が困惑しました。

 

しかし、政府のテコ入れもあり、今後は明るい見通しです。もちろん市場関係者たちも状況をよく読み、今後の可能性を冷静に分析しています(『波乱含みのベトナム不動産市場、2022年の価格動向を占う【現地バイヤーが詳述】』参照)。

 

ここからは市場別に見ていきましょう。

マンション(アパート)市場…価格急上昇の可能性あり

大手不動産デベロッパーのDKRAベトナムの調査によると、今年はホーチミン市郊外やその周辺省でプロジェクトによる多くのマンションの新規供給が計画されています。ホーチミン市の新規供給は昨年と比較して約1万8,000戸増加する可能性があり、ビンズオン省も昨年に比べて大幅に増加し、約1万戸が市場に投入される予定です。

 

ほかの近隣省でも、これまでのところ約1,000戸の新規供給が予定されています。販売価格水準は、投入コストの急激な増加(地価、建築資材の上昇など)により、2021年からの上昇傾向を継続する可能性があります。

 

しかし、マンションの二次取引(中古、権利転売)の全体的な動きは緩やかで、予想よりも活発ではありません。一戸あたり30億VND(約1,500万円)前後の価格帯のマンションなど、すでに引き渡し済みのプロジェクトからの新古マンションに動きが見られます。中古価格は市場相場を維持しており、今年、急上昇する可能性は低いでしょう。

 

ホーチミン市での新築マンションの供給は、主にトゥドゥック市(東部側)に集中しており、ハイエンドクラス(高級)及びハイミドルクラスが、新規供給の大部分を占めたままです。市場には長らく手頃な価格帯のローミドルクラスのマンションは供給されておらず、高級マンションの急増で新たな価格水準を確立する可能性があります。よって、全体的なマンション販売価格の水準は今年、急激に上昇する可能性があります。

タウンハウス(戸建)市場…価格上昇も動きは穏やか

今年、ホーチミン市と近隣省に新たに供給される予定のタウンハウス(戸建)は、昨年と同等で推移すると予想されています。ドンナイ省では、今後も引き続き市場全体の新規供給をリードし、約7,000戸の発売が見込まれており、ロンアン省とビンズオン省は、約1,500戸でわずかに増加すると予測されています。

 

ホーチミン市は昨年と比較してわずかに増加する可能性があり、1,000戸程で維持します。市場の全体的な需要は昨年と比較してわずかに増加する見込みです。

 

現在購入者が注目しているのは、近隣省で大都市圏内に位置する大規模プロジェクトです。日系だと阪急不動産、西日本鉄道が現地企業と合弁で進めているMIZUKIPARKプロジェクト(約4,670戸超の分譲マンション、約100戸超の戸建、約60戸超のタウンハウス〈連棟式住宅〉からなる26ha超の大規模複合開発)の引渡しが行われており、現地では人気のプロジェクトです。

 

ほかにも複数のプロジェクトが実施・計画されており、ホーチミン市では大規模住宅プロジェクト「AKARI CITY」に着手し、交通利便性に優れた立地に4,600戸超の分譲マンションが開発されています。

 

販売価格は、投資コストの高まりにより、昨年の上昇傾向を継続する可能性があります。二次流通市場(中古、権利転売)は昨年の水準を維持すると予想され、短期的には流動性や急激な価格上昇に変化が生じる可能性は低いと考えられます。

 

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