新型コロナウイルスの抑制にいち早く効果を上げていたベトナムですが、ここへきて感染拡大の傾向が見えてきました。国を挙げて対策に乗り出しているものの、第4波は手ごわく、ベトナム経済への影響が懸念されます。今年に入ってから堅調だった不動産市場はどうなるのでしょうか。南部ホーチミンを拠点とし、不動産ビジネスを展開する徳嶺勝信氏が現状と今後の見通しについて解説します。

新型コロナ第4波により、不動産市場も冷え込む

ベトナムでは、4月27日から発生した新型コロナの第4波により、6月20日時点での感染者は9,944人増加して累計感染者数は1万3,211人、17日に1万2,000人を超えてから3日間で1,200人以上増加しました。20日午後の発表時点での感染死者数は2人増えて66人となっており、第4波では31人となりました。

 

これまでベトナムでの新型コロナ感染対策は「隔離と検査」であり、感染者が発生した建物や施設、地域を閉鎖し、濃厚接触者からの接触者も含めて隔離の対象者とする策を行っています。この対策が功を奏し、これまでは大規模な感染拡大は起こりませんでした。

 

しかし、今回の第4波は変異種の影響もあり、隔離と検査が追いつかず、抑制できない状況が続いています。

 

ベトナムは早い段階から海外からの入国を制限し、入国の際には厳しい条件を課していました。これにより海外からの流入を防いだことで、諸外国のような厳しいロックダウンは実施されず、国内経済はそこまで大きな影響を受けずにすんでましたが、長期化するにつれ、徐々に影響が出はじめています。

 

不動産業界も同様です。次第に影響は深刻化しており、国内市場は注意が必要な時期を迎えています。

 

政府による新型コロナの感染制御が評価され、2020年末から2021年4月にかけては、不動産市場の安定を見据え、土地や建物の売買取引が徐々に増えてきましたが、4月末からの第4波により、この動きも停止しました。

 

(※写真はイメージです/PIXTA)
(※写真はイメージです/PIXTA)

 

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