ベトナム不動産市場、外国人には難しい状況が続く
ベトナムでは近年、外国人による購入可能な物件はハイリスク・ローリターンなものが多く、推奨できる物件が非常に少ない状況が続いています。
これまでも何度か執筆してきたとおり、ベトナムでは外国人が購入できる不動産には制限があります。外国人販売枠の許可が下りた、新規プロジェクト内のコンドミニアム(棟の30%以下)、Villa(区内、地区内の250戸以下)に限定されているほか、認められている使用期間は、建設許可から50年(延長1回、年数は不明)。外国人はこれ以外の物件を購入できません。
中古物件の場合は、外国人枠の物件に関してのみ使用期間を引き継いでの購入が可能です。ちなみに、土地は国の所有であるため、ベトナム人であっても外国人であっても、国からの借地となります。
現時点で考えられる「投資メリット」のまとめ
●安定した経済成長が継続、今後も着実な成長が見込める
ベトナム統計総局は12月27日、2020年の実質GDP成長率(推計値)を2.9%と発表しました。前年の7.0%からは大きく減速したものの、統計総局は、2.9%の成長率は世界的に高水準で、ベトナムの成功を表していると強調しています。
2011年~2019年までは平均6.3%の成長を続けており、2018年、19年には7%を超えた成長率を記録しています。コロナ禍にあっても、アジア開発銀行は4月28日付でベトナムの21年GDP成⻑率予想+6.7%に上⽅修正しています。もともと天然資源国でもあり、国内での加工製造、製品輸出の増加があるほか、電子部品等も含めたサプライヤーチェーンの位置付けとして、米中問題も絡み、外資企業の中国からの拠点移転や既存事業の業務拡大も加速しています。
●平均年齢が若く、労働人口が豊富
ASEAN加盟国のなかでも、インドネシア、フィリピンに次ぐ人口規模を持ちます。ベトナムの人口の平均年齢は約31歳(日本は46歳)であり、年齢別の構成比が15歳以下24.3%、15歳以上64歳以下68%、65歳以上が7.7%を占めるなど、比較的若年層の多い人口構成となっています。労働者賃金平均(作業員)は236米ドルで、中国の493米ドル、タイの446米ドルと比較するとおよそ半分です。まさに人口ボーナス期です。
●アッパーミドル層、富裕層が増加
このほど英系不動産サービスKnight Frank社が発表したレポート「The Wealth Report」によると、2019年のベトナム超富裕層(住居以外の資産3,000万米ドル以上保有)の人口は、前年比+7%増の458人と増加しました。2019~2024年の5年間で+64%増加する見通しです。
同じく2019年の富裕層(住居以外の資産100万米ドル以上保有)の人口は、前年比+12%増で25,727人増加。2024年までには+65%の42324人に増加する見通しです。
●都市部人口増加により、都市開発や交通インフラの整備が進む
2019年の国勢調査によると、2009~2019年の都市人口の年平均増加率は+2.64%で、1999~2009年の+3.40%から低下しているものの依然都市部への流入は続いています。ちなみにホーチミン市の人口は2019年に900万を超え、2009~2019年までの年平均人口増加率は+2.15%で、平均17万人増加しています。
統計にない、軍部や公安及び外国人や周辺の流動人口を加えると、1,400万人規模の都市といわれており、住居の不足解消の大規模都市開発や、都市鉄道開発を含む交通インフラ整備が進められています。現在、ハノイ、ホーチミンでは都市鉄道(地下含)の整備が進められており、2022年の運転開始の準備が整いつつあります。
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