2021年4月現在、ベトナム・ホーチミンの不動産市場は外国人による投資に適した状態とはいえません。政府の開発規制の緩和、外国人の購入条件の緩和等が実施されない限り、投資は控えたほうが安全だといえます。南部ホーチミンを拠点とし、不動産ビジネスを展開する徳嶺勝信氏が、現地の生の情報を分析して解説します。

物件の将来性は、現地人の購入・投資状況で確定される

筆者は南部ホーチミン市を拠点として不動産事業を行っている関係で、執筆している記事もホーチミン市に絞り、なおかつ、そのなかでもさらに物件を絞りこんで、市場を分析・研究しています。そのため、ベトナム全体の不動産状況とは、少し分析の内容が異なっていることもあります。あくまでも、ホーチミン不動産市場の実情という、絞り込んだ情報であることを踏まえてお読みいただきたいと思います。

 

筆者はベトナム人の不動産に関する動向、とくに取引含めた実需を見据えて分析しています。なぜならベトナムでは、法律上外国人が購入できる不動産に制限があるからです。とくに投資物件の中核となっているコンドミニアム(アパートメント)は、外国人への販売許可を得たプロジェクトでも、外国人が買えるのは1棟当たり30%以下に過ぎません。

 

つまり、不動産購入の主役は残り70%を購入するベトナム人であり、投資物件の状況・展望は、彼らを主体に考えない限り見えてこないと筆者は判断しています。そのため、常にベトナム人の動向を分析しながら外国人向けの投資物件を模索・案内しており、この部分もまた、ほかのベトナム不動産投資関連のレポート類との差異となっている部分だと思われます。

ホーチミンの不動産市場はコロナに関係なく「下り坂」

今回は、新型コロナから1年を経過して徐々に影響が出はじめた、コンドミニアム(アパートメント)市場の分析結果をお伝えしたいと思います。

 

筆者の分析では、ホーチミン市ではコロナ禍に関係なく2018年後期からコンドミニアム投資は下り坂に突入しています。

 

これまでベトナムの不動産市場は、10年スパンで上昇と下降を繰り返す動きをとっていました。近年では、2007年の不動産金融規制から始まり、リーマンショックを経て2012年に底に達し、2013年から徐々に上昇し始め、2015年の外国人の不動産購入解禁を受け、2018年にピークへと達しました。

 

しかしその後、法規制をはじめ建物の高さ制限や開発許可の法的厳格化も含め、物件供給数が減少していたところ、今回のコロナ禍に見舞われたという経緯があります。

 

このような状況下で、ベトナム人のコンドミニアム購入に関する動きがどのように変わってきたのかを見ていきましょう。

 

(※画像はイメージです/PIXTA)
(※画像はイメージです/PIXTA)

ベトナム人が住居として購入する割合が減少

2015年までは投資より住居としての活用が多く、ホーチミン市中心地近くの戸建てよりも、価格・利便性・ステータス等の面から、コンドミニアムの購入を検討する層が多くいました。

 

ホーチミン市ビンタイン区(1区中心地から約3キロ)のVINHOMES Central Parkを例に比較すると、現在の戸建(土地使用権)の売出し価格は、車が入れる通りで5,000ドル/m2~、車が入れない通りで3,000ドル/m2~となっており、同地区で戸建を購入するより、価格的にはCentral Parkを購入するほうがお得です。ちなみに、現在のCentral Parkの中古販売価格は、約2,500ドル/m2~となっています。

 

以上のように、住居用として考えると立地などの条件が同じなら、現在においても価格的には戸建てよりコンドミニアムがお得に見えますが、問題点もあり、ベトナム人が住居として購入する割合が減ってきているのです。

 

以下、現地の聞き取り調査から見えてきた、住居用としての購入が減少している理由を見ていきましょう。

 

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