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第4波で状況一変、好況だった不動産市場が凍結状態に
2021年、ベトナム不動産市場は激動の年でした。2020年からのゼロコロナ政策により、時折感染者が出るものの、敏速な検査と隔離を行いながら非常に上手く対応し、感染者が初めて見つかってから半年間は死者ゼロが続いていました。
その後も2021年の4月末からの第4波が発生するまでは、国内ではうまく感染をコントロールしながら経済を動かし、外国人観光客を生業としている観光業やサービス業、ビジネス等で関わる関連事業者以外は、とくに大きな影響を受けていませんでした。
状況が一変したのは第4波(デルタ株)の蔓延でした。
北部や中部の一部で発生したものが南部ホーチミン市に飛び火し、周辺省にも一気に感染が広がり、多くの感染者と死者が発生しました。ホーチミン市では7月中旬から9月一杯まで社会隔離政策(完全ロックダウン)が実施され、外出も制限され、地区によっては一歩も外に出られない状況が続いたのです。
不動産市場も、2021年4月までは取引は順調に進み、とくに土地取引はホーチミン市郊外および近隣省で活発に行われ、コロナ禍のなかでも土地市場は明るい兆しが出ていました。一方、マンションを含む新規プロジェクトは、供給不足による価格上昇が続き、流動性が弱く、限られた顧客のみの市場となっていました。
ところが、第4波の外出制限によって市場は一気に冷え込み、凍結状態に陥りました。
その後、10月初旬からの社会隔離規制緩和により、市場には徐々に人が戻りはじめ、また、不動産市場も動きが出はじめました。
土地使用権オークションで最高額が出るなど、急展開も
最終四半期では、新規プロジェクトが発売開始するとともに、中断していた既存プロジェクトも動き出し、多くの販売会社がプロモーション実施。これに拍車をかけるように、12月上旬に開始されたホーチミン市(旧2区)トゥティエム新都心エリア(現トゥドック市)での土地使用権オークションで、4区画(3-5、3-8、3-9、3-12)が総額37兆3,460億VND(約1,880億円)で落札されました。
なかでも3-12区画(1万60m2)は、ベトナム市場最高額となる平米あたり24億4,000万VND(約1,228万円)、総額24兆5,000億VND(約1,233億円)となり、これまでのベトナムでの平米当たりの最高額18億VND(約840万円)のホーチミン市1区を大きく上回り、市場を驚愕させました。
これにより1ヵ月足らずで周辺の土地やタウンハウス(戸建)マンションが急速に上昇し、実に20~60%の価格上昇が起こりました。ホーチミン市を含むほかの近隣省にも影響は波及し、同じく土地やタウンハウス(戸建)マンションが少なくても、このオークションの影響で10%以上は上昇したのです。
2021年からの急展開の一方、冷静な見解も
このように、2021年末の不動産市場は大きな盛り上がりを見せ、2022年は大きな期待をもって迎えることになりました。
ところが2022年に入ると、この最高額でのオークション落札者がいきなり入札を取り下げたのです。オークション参加の保証金5,884億VND(約30億円)が放棄されたことで、人々には入札時とは異なる驚きや動揺が広がりました。
その影響で、落札者関連自社株および不動産市場、建設関連株価が軒並み暴落。昨年のオークション落札後に急騰した周辺の土地価格のほか、関連不動産、不動産市場に、今後影響を及ぼすと予想されています。
しかしながら、一部の不動産専門家と経済エコノミストは冷静に受け止めており、2021年12月上旬の、ホーチミン市(旧2区)トゥティエム新都心エリア(現トゥドック市)の土地使用権オークションの一件をあげ、起こるべきして起こった結果として見ています。
この専門家たちによると、わずか1ヵ月足らずではあったものの、早めの取り下げは結果として被害を最小限に抑えると指摘しています。
年明け早々勢いを削がれた感は否めませんが、ベトナムの不動産市場は引き続き、政府の経済対策と、これまでボトルネックになっていた住宅法、不動産法含めた関係法令の改正や修正が進んでおり、今後はプロジェクトの許認可の短縮と古いアパートを含む建替え等、新規供給に向けての動きが活性化することが見込まれます。
さらに、銀行の貸出金利の引き下げも投資家(開発会社)や住宅購入者にも恩恵をもたらすと期待されています。
次回は、市場別に解説していきます。
徳嶺 勝信
VINACOMPASS Co., Ltd.
General Director
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