いつの時代もなくならない相続トラブル。家族や親族の話し合いでなんとかなると思っていませんか? 岡野雄志税理士事務所のもとには、そんな「終活足らず」な方々からの相談が舞い込みます。本記事で紹介するのは「父の死後に債務を知った」事例。※プライバシーに配慮し、実際の相談内容と変えている部分があります。

債務を知らなかった結果…「税金を払いすぎていた」

相続放棄するための手続きと手順は、以下のとおりとなります。

 

1.必要書類等を用意する
◎亡くなった方(Oさんの場合は祖父)の戸籍謄本
◎亡くなった方(Oさんの場合は祖父)の住民票の除票または戸籍の附票
◎相続放棄する人の戸籍謄本
◎相続放棄申述書(最高裁判所のサイトからダウンロードできます。ただし、相続放棄する人が20歳以上か、20歳未満かで記入する内容が異なります)
◎収入印紙800円
◎郵便切手(送り先の家庭裁判所によって料金は異なります)

 

2.家庭裁判所へ1の書類を提出する
申述書に必要事項を記入し、1の必要書類等を添えて提出します。なお、提出先は、亡くなった方(Oさんの場合は祖父)の最期の住所地を管轄する家庭裁判所となります。当該の家庭裁判所は、最高裁判所サイト「裁判所の管轄区域」で調べられます。

 

3.家庭裁判所から照会書が送付される
照会書の質問に対する回答を記入し、家庭裁判所に返送します(この照会書の段階で、相続放棄を却下される場合もあります)。

 

4.家庭裁判所から「相続放棄申述受理通知書」が届く
「相続放棄申述受理通知書」は、相続放棄が認められた通知書です。照会書を返送してから1週間から10日ほどで届きます。相続放棄が認められない場合、その相続について、再度、放棄の申述はできません。

 

相続放棄手続きを代理してもらう場合、その依頼先は弁護士または司法書士となります。万が一、不動産の強制執行を通知してきた債権回収会社と揉めた際は、弁護士に相談したほうがよいでしょう。

 

今回のケースの場合、相続放棄が認可されれば、次は相続税の「修正申告」または「更正の請求」となります。こちらの手続き代行の依頼先は、相続税に詳しい税理士です。相続発生時の法定申告期限内の相続額よりも多ければ「修正申告」、少なければ「更正の請求」となります。

 

Oさんの場合、祖父の債務を知らず、祖父→父親の一次相続分、父親→Oさんの二次相続分を申告・納税していました。ですから、払い過ぎた相続税の還付を求める「更正の請求」となります。

 

「修正申告」「更正の請求」ともに、期限は相続発生の翌日から5年10ヵ月以内。ただし、期限を過ぎても、特別な事情が生じた場合、その事由発生を知った日(Oさんのケースでは、債権回収会社の通知が届いた日)の翌日から4ヵ月以内なら「更正の請求」が可能です。

 

しかし、「更正の請求」は一度納めた相続税の過払い分を取り戻す手続きですから、税務署もそう簡単には認めてくれません。

 

「更正の請求」には、その更正の請求を行う理由の基礎となる事実を証明する書類等の添付が必要となります。

 

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