住まいに関するお金の疑問や不安について、ファイナンシャルプランナーの西澤京子氏・税理士法人スマートシンク代表の菊地則夫氏監修の書籍『住宅ローン&マイホームの税金がスラスラわかる本2021』(株式会社エクスナレッジ)より一部を抜粋、編集して紹介します。

【登場人物の紹介】

尾内 星子(おうち ほしこ)さん…30歳。35歳の夫、5歳の長女の3人家族。今は家賃10万円の賃貸マンション暮らし。マイホームが欲しいけど、お金のことが心配で、なかなか行動に移せずにいる。

 

西澤 京子さん…1級ファイナンシャル・プランニング技能士、宅地建物取引士、住宅ローンアドバイザー、大手保険会社、デベロッパー、不動産販売会社、FPオフィス代表を経て現在は不動産関連会社勤務。

「住宅ローン」できるだけ多く借りていい?

Q 銀行が融資してくれる金額の上限いっぱいを借りてもいいでしょうか? せっかくだからたくさん借りて、大きな家を建てたいなあ、と思うんです

 

(写真はイメージです/PIXTA)
(写真はイメージです/PIXTA)

 

西澤さん 銀行は、年間の返済額が税込み年収※1の35%になる融資額を、限度額として提示することが多いんです。たとえば、年収600万円なら、1年間の返済は210万円。1カ月当たり17万5000円です。

 

星子さん 年収600万円の家で、月に17万円以上返済するって大変ではないですか?

 

西澤さん しかも、この場合の「年収」は税込みが一般的。手取り収入で考えると、融資限度額いっぱいというのは、年収の40%超になるんです。さらに、固定資産税や都市計画税、マンションの場合は管理費や修繕積立金がかかるので、収入の約半分が住居費になってしまう可能性も高いんですよ。

 

星子さん 年収の半分も住居費となると生活が苦しそう…。

 

西澤さん 融資限度額いっぱい借りると、物件価格の100%が借りられたりしますが、家計は入居直後から債務超過になる可能性が高く、安心な資金計画とはいえないですね。借りられる金額ではなく、返せる金額を借りましょう。

 

【ここがポイント!】

 

Point 01 融資限度額いっぱいで借りると、手取り年収の40%超をローン返済に当てることになる

 

Point 02 固定資産税や都市計画税、管理費や修繕積立金も含むと、手取り年収の半分が住居費になることも。

 

Point 03 安心な資金計画のためには、借りられる金額ではなく、返せる金額を借りよう。

 

融資限度額いっぱいを借りると、住居費が家計を圧迫[図表1]
融資限度額いっぱいを借りると、住居費が家計を圧迫[図表1]

 

【注目キーワード】税込み年収

一般的に、銀行が融資限度額を出すための基準とするのは「税込み年収」※2。この金額には、所得税や住民税、社会保険料負担分などが含まれており、実際に手元に残る手取り年収はこれらを差し引いた分だ。手取り年収の範囲で無理のないローン返済かどうか確認したい。

※1、2 税込み年収を基準とするのは、収入が給与収入の場合

 

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住宅ローン&マイホームの税金がスラスラわかる本2021

住宅ローン&マイホームの税金がスラスラわかる本2021

西澤 京子 菊地 則夫

エクスナレッジ

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