【登場人物の紹介】
尾内 星子(おうち ほしこ)さん…30歳。35歳の夫、5歳の長女の3人家族。今は家賃10万円の賃貸マンション暮らし。マイホームが欲しいけど、お金のことが心配で、なかなか行動に移せずにいる。
西澤 京子さん…1級ファイナンシャル・プランニング技能士、宅地建物取引士、住宅ローンアドバイザー、大手保険会社、デベロッパー、不動産販売会社、FPオフィス代表を経て現在は不動産関連会社勤務。
「住宅ローン」できるだけ多く借りていい?
西澤さん 銀行は、年間の返済額が税込み年収※1の35%になる融資額を、限度額として提示することが多いんです。たとえば、年収600万円なら、1年間の返済は210万円。1カ月当たり17万5000円です。
星子さん 年収600万円の家で、月に17万円以上返済するって大変ではないですか?
西澤さん しかも、この場合の「年収」は税込みが一般的。手取り収入で考えると、融資限度額いっぱいというのは、年収の40%超になるんです。さらに、固定資産税や都市計画税、マンションの場合は管理費や修繕積立金がかかるので、収入の約半分が住居費になってしまう可能性も高いんですよ。
星子さん 年収の半分も住居費となると生活が苦しそう…。
西澤さん 融資限度額いっぱい借りると、物件価格の100%が借りられたりしますが、家計は入居直後から債務超過になる可能性が高く、安心な資金計画とはいえないですね。借りられる金額ではなく、返せる金額を借りましょう。
【ここがポイント!】
Point 01 融資限度額いっぱいで借りると、手取り年収の40%超をローン返済に当てることになる
Point 02 固定資産税や都市計画税、管理費や修繕積立金も含むと、手取り年収の半分が住居費になることも。
Point 03 安心な資金計画のためには、借りられる金額ではなく、返せる金額を借りよう。
【注目キーワード】税込み年収
一般的に、銀行が融資限度額を出すための基準とするのは「税込み年収」※2。この金額には、所得税や住民税、社会保険料負担分などが含まれており、実際に手元に残る手取り年収はこれらを差し引いた分だ。手取り年収の範囲で無理のないローン返済かどうか確認したい。
※1、2 税込み年収を基準とするのは、収入が給与収入の場合
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