近未来の消費者洞察データを基軸にイノベーション支援を展開する、株式会社SEEDATA代表取締役社長の宮井弘之氏は、周知の事実や世の中の常識に囚われずに成功するための思考法を説いています。

お金のプロフェッショナルである銀行でも失敗する

特に、海外企業の買収など地の利のないところではそういった直感に流されがちです。振り返れば、その会社の業績が好調だったのは、前の社長が個人的な力でむりやり伸ばしていたのであって、買収後にその社長がやめてしまったら、組織としての力が育ってないので結果が出なくなるというようなことはよく聞きます。

 

実は、黒字で何もかも好調に見えている会社のほうが、見かけの良さに騙されやすいので、企業価値の査定や分析をするのに経験や知識が必要になります。私の経験では、財務諸表のうえで黒字の会社ほど、罠がひそんでいるケースがあります。いろいろな操作で黒字にしている場合があるからです。

 

お金のプロフェッショナルである銀行ですら、融資に失敗するケースがあるのはそのためです。逆に、「直感」に反するようですが、赤字の会社は、正直に悪い部分を出しているので、粉飾をしていない可能性が高いです。ですから、私は会社を買収するときには、赤字の会社を積極的に探しています。

 

そんなことをすると、もちろん周囲には反対されます。しかし「会社は黒字でなければだめ」というのは、いったい誰が言っているのでしょう。

 

それは銀行です。銀行は、赤字の会社だと融資の稟議を通せないので、口を酸っぱくして「会社は黒字でなければだめ」だと言い回っているのです。ですが、それは銀行の融資の論理であって、会社の買収をする際にも当てはまるものでしょうか。私に言わせれば、赤字の会社はすでに問題が俎上に乗っているので、その問題の解決方法さえ見えればいくらでもやりようがあります。

 

実際に、我々が赤字会社の買収に関わったときには、三カ月で黒字化することができました。ならば、買収される前でも黒字化できたのではないかと思う人もいるでしょうが、ずっとなかにいる人はしがらみや慣習に無意識に縛られていて、問題が見えなくなっているものです。

 

外から見れば簡単なことでも、なかにいる人には無理ということがよくあります。広告の世界では、今は「効果の計測できるネット広告のほうがテレビ広告よりもいい」などと、まことしやかにささやかれています。

 

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宮井 弘之

幻冬舎MC

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