近未来の消費者洞察データを基軸にイノベーション支援を展開する、株式会社SEEDATA代表取締役社長の宮井弘之氏は、周知の事実や世の中の常識に囚われずに成功するための思考法を説いています。

「認知的不協和の解消」直感を信じてはいけない理由

ここで私がまずお伝えしたいことは、「直感」は必ずしも正しいわけではないということです。

 

もちろん「直感」が常に間違っているわけでもなく、「直感」に従って良かったという場合もあるので補足をしておきます。

 

私の見るところ「直感」が正しいのはたいてい「不安」を覚えたケースです。「直感」というのは、自分がまだ意識化や言語化できていないけれども、確実に受け取っているなんらかの「情報」に対する身体的反応のことですから、リスクに対しては非常に敏感です。ですから、「不安」を感じた場合は「直感」に従ったほうがいいのです。

 

逆に、希望的観測の方向性で「直感」に従うことは、往々にして危険を伴います。「この人は良さそうだから付き合ってみよう」と軽々とOKして失敗した人は数えきれません。

 

「誕生日と同じ番号の銘柄の株(宝くじ、馬券)を買ってみよう」で成功するのはただの偶然です。「とても反応がいいので受注できます」と上司に報告して裏切られたことだってあるはずです。なぜ「直感」による希望的観測が失敗するのかといえば、そこには「直感」だけでなく、あなた自身の「希望」や「欲望」が紛れこんでいるからです。

 

心理学的には、「認知的不協和の解消」と呼ばれていて、人間の認知がもっている一つのクセのようなものです。

 

「とにかく株式投資をしてみたい」と思っていれば「卵を一つのカゴに盛るな」を鵜呑みにして株式投資を始めます。「とにかくラーメン屋を開業したい」と思っていれば、バラ色の繁盛店ばかりをイメージして足元の落とし穴に落ちます。「達成しなければ」と焦っていれば、焦ったぶんだけ見落としが多くなります。

 

例えば、海外の企業を買収したが、経営がうまくいかず巨額の損失を計上した、というようなニュースをよく見ると思います。買収のゴーサインが出たときには、黒字の会社で業績も伸びているから大丈夫ということだったのですが、とにかく買いたいという気持ちが先行すれば業績向上の原因をきちんと精査できずに、「あれもいい、これもいい、問題ない」という「直感」に騙されてしまうのです。

 

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