コミュニケーションが最悪な場合に起こる恐ろしい事態
職人は誰しも自分の仕事に対して、高い技術と誇りを持っている。でも、自分以外の工事に関してはそれほど興味がないものだ。特に建物の骨組みを造る躯体工事の職人が、建物の内装関係の仕上げをする仕上工事のことを考えて仕事をすることはまずない。
中には意識の高い職人もいて、現場監督からすればスーパーヒーローに見えるけど、そんな人はほんのひと握りしかいない。だけど、ヒーローがいようがいまいが、仕上工事を美しく完成させるには、それに相応しい躯体工事が必要であり、建物によってひと工夫のポイントは違う。
それを見極めて職人にうまく伝え、通常より素晴らしい結果を導き出し、1+1を3にする。それが現場監督の役割だ。
■1を発揮させる
1+1=3を引き起こすために大切なのは、まずちゃんと1を発揮させることだ。50人現場にいたら、少なくとも50以上の結果にしなければいけないわけだから、当たり前の計算だけど、誰かが1以下になってしまうと圧倒的に不利になる。
でも、案外こんな状態の現場は少なくない。この状態は、現場監督と職人のコミュニケーションが最悪な場合に起こる。
ゼネコン側と職人のコミュニケーションがうまく取れていない場合、現場の空気が悪くなってみんなやる気が出ない。ゼネコンの社員は、多少上司が理不尽でも耐えようとするけど、職人はそうではない。この現場が嫌なら他の現場に行けばいいからだ。
実際に、とても独裁的で理不尽な現場所長に腹を立てた鳶職人チームが朝礼中に激怒して帰り、現場をボイコットしたこともある。ちなみにその現場は何とか完成こそしたが、別会社の鳶職人を手配するために工期が遅延したり、余計な施工手間が増えたりするなどして工事費用が嵩み、大赤字になったそうだ。
こんなことにならないために、まず一人ひとりに本来その人が持っている1を発揮してもらうことが大切だ。そのためには職人もそうだけど、現場のゼネコン社員同士もしっかりコミュニケーションを取り、マネジメントをするべきだ。マネジメントって言うと難しそうだが、これをできずに現場監督は務まらない。
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