堅苦しい空気感にも慣れてきたころ…
振り返ると僕のゼネコンマンとしての環境は、とても恵まれていたと思う。この「1を発揮させる」ことも、上司や周囲の方から教えて頂いた考え方だ。
僕が入社したゼネコンでは、最初の2年間はローテーション研修といって、現場監督だけでなく、図面を描く部署や、見積りをする部署など、各部門をローテーションしていく、いわゆるOJT(On-The-Job Training)が採用されていた。
僕のローテーション研修の、第一弾は工事用の図面を描く部署だった。当時、僕が想像していた現場監督のイメージとは程遠い、毎日スーツを着て、いかにも東京らしいオフィスビルに出勤する新米サラリーマンとして社会人生活が始まったのだ。
だが、もともと体育会系育ちのせいか、堅苦しい空気感がとても苦手だった。根性だけは負けない、と全く業務に関係なさそうな自信はあったものの、イスにずっと座っているのも退屈で、すぐにあぐらを組みそうになったり、パソコンの画面を見続けることにも飽きてすぐにタバコを吸いに行ったりしていた。デスクに座って仕事をし続ける根性はなかったのだろう。
そんなオフィス勤務生活にも慣れてきた日のことだ。
当時の直属の上司は、丁寧に仕事を教えてくれるし、あまり余計な会話もなく、黙々と仕事をするような人だった。副課長という役職だったので、もう入社10年以上のベテラン社員であり、とにかく仕事一筋といった人だった。
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