本連載は、三井住友DSアセットマネジメント株式会社が提供する「宅森昭吉のエコノミックレポート」の『経済指標解説』を転載したものです。

 

1~3月期実質GDP第1次速報値・前期比は3四半期ぶりのマイナス成長

 

2回目の緊急事態宣言で個人消費前期比マイナスに、設備投資はプラスか

 

 

●5月18日に発表される1~3月期第1次速報値では、実質GDP成長率は前期比▲1.0%程度、前期比年率▲4.0%程度と3四半期ぶりのマイナス成長になると予測する。2度目の緊急事態宣言発令の影響で個人消費支出が減少したことが主因である。

 

●1~3月期実質GDP第1次速報値では内需前期比寄与度は▲0.9%程度を予測する。内訳をみると、民間需要の寄与度が▲0.8%程度のマイナス寄与度、公的需要の寄与度は▲0.1%程度のマイナス寄与度と予測する。

 

●実質個人消費は、前期比▲2.2%程度のマイナスを予測する。また、設備投資は前期比+0.5%程度のプラスになると予測した。

 

●外需は、輸出が+0.9%程度と前期比プラスに、控除項目の輸入が+1.5%程度の前期比プラスになると予測した。外需の前期比寄与度は▲0.1%程度のマイナスになると予測した。

 

●個人消費の供給サイドの関連データである耐久消費財出荷指数の1~3月期前期比は▲4.2%の減少になった。一方、同じく供給サイドの関連データである非耐久消費財出荷指数は同+3.0%の増加だ。参考までに商業販売額指数・小売業の1~3月期前期比をみると+0.4%の増加になった。また、需要サイドの関連データでは、家計調査・二人以上世帯・実質消費支出(除く住居等)の1~2月平均対10~12月平均比は▲6.7%の減少である。乗用車販売台数の1~3月期前期比は▲4.9%の減少になった。GDP統計の実質個人消費(家計最終消費支出)と関連性が高い消費総合指数(月次ベース)の1~2月平均対10~12月平均比は▲0.6%の減少である。総合的に考えると、1~3月期第1次速報値の個人消費は、前期比で▲2.1%程度の減少になる可能性が大きいだろう。2度目の緊急事態宣言が発令された1~3月期の日本の個人消費はマイナスになり、1~3月期GDPの押し下げ要因になることが予想される。

 

●設備投資の関連データである資本財(除.輸送機械)出荷指数の1~3月期前期比は+7.6%の増加になった。また、建設財は同+0.1%の増加である。両者を合わせた投資財(除.輸送機械)出荷指数の1~3月期前期比は+5.1%の増加である。10~12月期の前期比+4.3%の高い増加率に続き、1~3月期の供給サイドから推計される実質設備投資は前期比+0.5%程度の増加になると予測した。

 

●民間在庫変動の前期比寄与度は+0.1%程度とみた。ARIMAモデルにより内閣府が現時点での情報を使って算出・公表した、1~3月期の原材料在庫の季調済実質値前期差は+8,650億円、仕掛品在庫の季調済実質値前期差は+2,189億円である。また、鉱工業在庫指数の前期比は、10~12月期は▲1.6%だったが、1~3月期も▲1.6%になったことなどを考慮した。

 

●実質輸出入の動向をみると、輸出の1~3月期・前期比は+1.9%の増加になった。控除項目の輸入は同+1.9%の増加になっている。財のデータでみると、1~3月期の外需・財貨の前期比寄与度は若干のプラスになる可能性がありそうだ。サービスも含めたGDPの輸出の1~3月期前期比は+0.9%の程度の増加、輸入は同+1.5%程度の増加と予測した。1~3月期の外需の前期比寄与度は▲0.1%程度になると予測する。

 

 

※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『2021年1~3月期実質GDP(第1次速報値)予測』を参照)。

 

(2021年4月30日)

 

宅森 昭吉

三井住友DSアセットマネジメント株式会社

理事・チーフエコノミスト

 

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