トイレそうじの習慣化が勉強の習慣につながる
トイレそうじの目標は、「仕事を習慣化すること」です。だからここでも優先順位をつけて、トイレをきれいにすることよりも、雑巾を手にすることを最優先にしました。雑巾でトイレの床を少しでも拭き、ブラシで便器のなかを少しでもこすればOKとしました。
決して完璧なトイレそうじではありませんでしたが、「そうじの習慣化」という意味では成功しましたから、よかったのだと思っています。
やりたいからやるのではなく、自分の役割だからやりたくなくてもやらなければならないということが大切です。この「やりたくなくても自分の役割だからやらなければならない」ということが、学力につながっているのです。学力を上げるためには、勉強しなければなりません。
「やりたいから勉強する」「やりたくないから勉強しない」と選択権を子どもに与えてしまうと、なかなか前には進めません。だから、小学校に入る前から「やりたくなくてもやらなくてはならないことがある」経験を習慣化させておくことで、入学後の勉強も習慣にすることができると考えたのです。
トイレそうじが苦痛でない東大生・京大生
もしお子さんに仕事として何かを毎日させるとしたら、どうぞハードルの低いものにしてあげてください。目的はあくまでも「習慣化」ですから、長続きしにくいハードルの高すぎるものでは意味がありません。
途中でやめてしまったら、「習慣化」ができないばかりでなく、「自分はできない人間」というふうに自己肯定感が下がってしまいます。「無理矢理そうじをさせられたことで、子どもにとって『いやな仕事を無理矢理やらされる』ことがトラウマにならないだろうか」という不安をもつお母さんもいらっしゃるでしょう。
私も当時はそう思っていました。「いやがる子どもに無理やりトイレそうじをさせることで、仕事に対してマイナスのイメージをもってしまうのではないか?」という不安はありました。でも、仕事の習慣化が何よりも大切だと思っていましたので、自分を信じてやらせつづけました。
先日、すでに大学生になった子どもに、「トイレそうじを3歳からやらされて、いやじゃなかった?」と聞くと、子どもは、「するのが当たり前と思っていたから、特に不満に思ったことはないよ。おかげでひとり暮らしのいまもトイレそうじが苦痛じゃないので、よかったんじゃない」と言ってくれたのでホッと胸をなでおろしました。
河村 京子
母学アカデミー代表
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