「お前、女なのだから、やめたっていいんだよ」
簡単ではありません。本人を納得させる前に、両親を納得させなくてはいけません。今の成績がすべてではないといった話もその場でします。クレームも甘んじて受け、それについて説明し、あるいは話し合います。こちらの対応も簡単ではありませんが、親のほうも嫌がります。そんな突っ込んだ面接は、できれば避けたいというのが人情でしょう。
聞く耳を持たない両親も少なくありません。平気で本人の悪口を皆の前で言う、子供たちの尊厳を傷つける父親もいます。それを聞いて本人は泣きだす。そんなことも珍しくない父母会です。せっかくその気になってきた娘さんをつかまえて、「お前、女なのだから、やめたっていいんだよ」と平気で決めつける親もいます。呆れてものも言えません。
そんな右か左かみたいな言い方では毒にこそなっても、薬には絶対になりません。そんなふうに、親が元凶である場合は少なくないのです。だから、親にモノを申す会でもあります。勉強の成果というものはどうしたら上がるものなのか、それを親は知らなくてはいけません。そうでなければ齟齬(そご)が生まれます。
しかも、受験勉強によって医学部に合格することだけが目的ではないはずです。受験勉強を通じて、その子が成長することがより大切なはずです。
受験という負荷を与えることで、子供は成長する。見事に合格すれば自信になりますが、たとえ合格しなくても、しっかりと努力をした結果であれば、やはり自信にはなりますし、成長を遂げることもできるわけです。
その自信ありげな顔を、私も見たいし、両親にも見せてあげたいのです。その成長を温かく見守りたいし、見守ってもらいたいのです。
私たちがその子に愛情を与えることができれば、その子が医者になった時に、患者に対して、素直に愛情を注ぐことができるようになるはずと考えて、彼らかわいい生徒たちのために、日々精進しているのです。
長澤 潔志
医学部専門予備校・TMPS医学館代表取締役
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