予備校・大学・高校にいる「触らぬ神」
勉強はその結果、ついてくるのです。そのためには母親がフォローするだけでなく、父親が後ろ姿を見せるだけでなく、本当は父親も積極的に、自分の満足、あるいは苦しさを伝えるべきなのです。
時には病院に連れていって、現場を見せるべきなのです。自分の子供を医者にしたいのであれば、それも立派な医者にしたいのであれば、そうすべきです。自分がいかにこの仕事に誇りを持っているか。一所懸命か。そのことを告げるべきなのです。
そこを無視しておいて、「お前は医者になるんだ。だから勉強しろ」と言いだしても、事は遅過ぎます。
【生徒、子供には真の愛を持って接することが大事】
精神状態に難のある子供たちというのは、全体の1割から2割程度です。予備校も大学も、高校でさえ、基本的には、そうした子供たちを〝触らぬ神〞と考えています。何かあった時に責任が取れないからです。レアケースに遭遇した場合は、全部、医者に任せるのが基本になっています。
もちろん、いわゆる精神疾患の場合は、それが正しい選択でしょう。しかし、すべてがすべてそうであるわけではありません。しかも、多くの子供たちが、多かれ少なかれ、さまざまなコンプレックスや弱さを抱えています。
ちゃんと育てなければ、簡単に折れてしまう子は決して少なくありません。まずはそこを何とか支えていかなくてはいけない。繰り返しますが、受験勉強云々は、その先の話なのです。必要なのは理屈による逃げ口上ではなく、愛を持って真正面から当たることなのです。
私の予備校には、PTSA会という父母会があります。普通の父母会は、先生方が親に文句を言われたくないから、できるだけ一方的な報告の場にしてしまいます。「これだけ頑張っていますよ」「こことここを受験しますからね」「やればできる子だから」などと言って、追い返します。
当校の場合、それはしません。その子を担当している英数理、7人から8人の先生をすべて集めて、両親と本人を交えて話し合いをします。その場は、決して成績に対する批評会ではありません。本人の現状を説明、把握して、これからどうすべきかを皆で考え、話し合い、合意する場です。
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