築年数を重ねた建築物であっても、一定の資産価値を維持するために外壁工事は欠かせません。しかし、なかには手抜きをする業者もいるため、不動産オーナーは注意が必要です。物件の価値を損ねないためにも、実際の外壁塗装の手順と美しい仕上がりに必要なプロセスを知っておきましょう。専門家が解説します。

外壁塗装工事には「6つのステップ」が必要

外壁塗装工事の具体的な流れについて見ていきましょう。

 

①着工

 

工事は、まず足場の組み立てから行います。足場工事というのは2つの役割を果たしています。1つ目は高いところの外壁や屋根を塗装するためです。2つ目は、塗料が近所に飛散しないためです。組み立て時と解体時はほかの工程と比べて工事の音が大きくなるため、あらかじめご近所にそのことを伝えておくとよいでしょう。

 

②洗浄(高圧洗浄・バイオ洗浄・トルネード洗浄)

 

外壁、屋根ともに、高圧洗浄機で汚れ、古い塗料、コケなどを落とします。洗浄は大きく分けて3種類のやり方があります。

 

●高圧洗浄

通常の外壁洗浄やトルネード洗浄をしたあとの洗い流し、抗菌剤塗布後の洗い流しなどに使用するやり方。

 

●バイオ洗浄

高圧洗浄では落ちないカビやコケといった生物系の汚れを根っ子からきれいにするために、抗菌剤を外壁に塗布してから高圧洗浄するやり方。

 

●トルネード洗浄

高圧洗浄機に付けた専用ノズルの先端が高速回転し、通常の高圧洗浄よりも高い水圧で噴射することにより、通常の水圧では落とせない汚れを落とすことができる。主に屋根や駐車場などしつこい汚れが多い場所で使用されるやり方。

 

洗浄は塗装では重要な手順です。というのも、汚れが付いた状態で塗装すると、塗料の剥げ落ちなどの原因になるからです。例えば、コケが残った状態で塗装し、コケが剥げ落ちたときに塗装も一緒に落ちてしまうような場合です。

 

また、カビやコケを根っ子からきれいにしないと、せっかく外壁塗装できれいにしてもすぐにまたカビやコケが発生してしまう可能性があります。

 

洗浄と同じくらい重要なのが洗浄後の乾燥です。

 

例えば、高圧洗浄の水が外壁にしみ込んでいる場合、そのままの状態で塗装すると水の逃げ道がなくなり、塗料を内側から劣化させてしまいます。水が蒸発して塗料の膨れの原因になることもあります。

 

③養生・下地処理、コーキング工事

 

外壁が乾いたら、塗料が付いてはいけない所にビニールで養生するなど、塗装に適した状態にする下地処理をします。また、目地やサッシ廻りのコーキング工事をします。コーキングは家の劣化具合により高圧洗浄より先にする場合もあります。ここが塗装の仕上がりに大きく影響する大事な工程になります。

 

④塗装

 

次はいよいよ塗装です。塗装は3度塗りが基本です。外壁材や屋根材が傷んでいる場合、下地処理のための下塗りを2回、3回行うこともあります。(塗装工程の詳細は後述します)。

 

⑤付帯部の塗装

 

付帯部というと聞き慣れない言葉だと思いますが、雨どいや雨戸、シャッターボックスなど外壁や屋根以外の細かな部分のことを指します。付帯部の塗装は基本2回塗りです。付帯部は外壁よりも劣化の進行が早いため外壁よりもワンランク上の塗料がお勧めです。

 

⑥タッチアップ、掃除・撤収

 

塗装が終わったら細かな塗り残しをタッチアップで修正します。そして掃除はきれいに。お客さんに確認してもらい、問題がなければ足場を解体します。そして保証書を渡し、現場を片づけます。


ご近所に工事終了を伝え、問題なく一連の工事が終了したところで、工事代金をお客さんから受け取ります。

 

(※画像はイメージです/PIXTA)
(※画像はイメージです/PIXTA)

 

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家の寿命を20年延ばす はじめての外壁塗装

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久保 信也

幻冬舎MC

なんとなく後回しにしがちな外壁塗装。実際に、料金や工法もよく分からない戸建て住宅オーナーは多い。 しかし、外壁塗装の知識がないまま業者に依頼してしまうと、雨漏りや料金トラブルが発生してしまうこともしばしば………

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