築年数を重ねた建築物であっても、一定の資産価値を維持するために外壁工事は欠かせません。しかし、なかには手抜きをする業者もいるため、不動産オーナーは注意が必要です。物件の価値を損ねないためにも、実際の外壁塗装の手順と美しい仕上がりに必要なプロセスを知っておきましょう。専門家が解説します。

外壁塗装の強く美しい仕上がりには「3度塗り」が必要

外壁塗装は、「下塗り」「中塗り」「上塗り」の3回塗りが基本です。

 

それぞれの役目を見てみると、まず「下塗り」は、塗料を外壁に密着しやすくし、外壁に定着させる役目を持っています。外壁の状態や素材などによって使用する下塗りの塗料が変わります。また、最終的な見た目の色合いやツヤの出方などは、この下塗りでほぼ決まります(もちろん、洗浄や下地処理をきちんとしていることが前提です)。

 

「中塗り」は、3度塗りのなかで真ん中となるため中塗りと呼びますが、基本的には上塗りと同じ塗料を使いますので、1度目の上塗りといってもよいでしょう。中塗りの役目はムラが出るのを防ぐことです。

 

「上塗り」を2度(中塗り、上塗り)に分けることで、美しい仕上がりが実現されるのです。

 

3度塗りはあくまで基本ですので、外壁材が古く、塗料を吸い込んでしまうような場合は下塗りを2度、3度行う必要があります。下塗りが吸い込まれた状態で中塗りすると、中塗りの塗料も吸い込まれてしまい、機能が落ちますし、ムラになって美観が損なわれることもあります。

 

女性の方はイメージしやすいと思いますが、お化粧で下地をきちんとしていないと、どんな高級コスメを使っても効果が発揮されないのと同じで、塗装も下塗りをしっかりしていないと、美観も効果も半減してしまうのです。

 

中塗りが1度目の上塗りであると考えれば、中塗りと上塗りは同じ塗料を使うのが基本といえるでしょう。

 

しかし、業者のなかには中塗りと上塗りの色を変える業者もいます。その理由は、「上塗りの塗り残しの防止」や「きちんと3度塗りしていることを依頼者に分かりやすくするため」です。

 

確かに、そのような効果はあるかもしれません。

 

業者によっては2度塗りで済ませようと考える人がいるかもしれませんし、お客さんは現場に張り付くわけではありませんので、きちんと3度塗りしているかどうかわかりません。そもそもお客さんの多くは3度塗りが基本であることを知らない場合もありますので、色を変えることで手抜きしていないことを視覚的に証明できます。

 

ただ、中塗りと上塗りの色が異なると、将来的な色ムラの原因になります。なぜなら、塗装は上塗りから劣化していくため、上塗りが色あせたときに中塗りの色と違っていると、中塗りの色が透けて見えてしまうからです。

 

手抜きが心配で色を変えてほしいのであれば、上塗りとほとんど変わらない色で中塗りしてもらうようにしましょう。

 

信頼できる業者を選べば、そもそも手抜きはされませんし、上塗りを塗り残されるようなこともありません。

 

 

久保 信也

株式会社リペイント匠 代表取締役

 

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