2021年2月分景気動向指数(速報値)

本連載は、三井住友DSアセットマネジメント株式会社が提供する「宅森昭吉のエコノミックレポート」の『経済指標解説』を転載したものです。

 

先行CI前月差+1.2で2ヵ月連続の上昇、一致CIは▲1.3で2ヵ月ぶりの下降

 

基調判断「上方への局面変化」継続、2月分では一致CI前月差下降で「改善」にならず

 

 

 

●2月分の景気動向指数・速報値では、先行CIが前月差+1.2と2ヵ月連続の上昇になった。速報値からデータが利用可能な9系列では、新設住宅着工床面積、消費者態度指数、日経商品指数、マネーストック、東証株価指数の5系列が前月差寄与度プラスに、最終需要財在庫率指数(逆サイクル)、鉱工業生産財在庫率指数(逆サイクル)、新規求人数、中小企業売上げ見通しDIの4系列が前月差寄与度マイナスになった。

 

●2月分の一致CIは前月差▲1.3と2ヵ月ぶりの下降になった。速報値からデータが利用可能な8系列では、投資財出荷指数、商業販売額指数・小売業、商業販売額指数・卸売業の3系列が前月差寄与度プラスになった。生産指数、鉱工業生産財出荷指数、耐久消費財出荷指数、有効求人倍率、輸出数量指数の5系列が前月差マイナス寄与度になった。

 

●最近の、一致CIを使った景気の基調判断をみると、19年8月分~20年7月分は「悪化」の判断だったが、景気の基調判断は8月分で19年5月分~7月分以来13ヵ月ぶりの「下げ止まり」に上方修正された。その後、20年9月分から12月分まで「下げ止まり」で据え置きになった。21年1月分で一致CIを使った景気の基調判断が、「上方への局面変化」は事後的に判定される景気の谷が、それ以前の数ヵ月にあった可能性が高いことを示す「上方への局面変化」に上方修正された。

 

●2月分で一致CIを使った景気の基調判断が景気拡張の可能性が高いことを示す「改善」に「上方への局面変化」から上方修正される条件は「原則として3ヵ月以上連続して3ヵ月後方移動平均が上昇かつ当月の前月差の符号がプラス」になることである。しかし、3ヵ月後方移動平均は2月分で8ヵ月連続して上昇したものの、一致CIの前月差がマイナスになったので、「改善」への上方修正にはならなかった。

 

●鉱工業生産指数の先行きを製造工業予測指数でみると3月分は前月比▲1.9%の低下、4月分は前月比+9.3%の上昇の見込みである。「改善」への上方修正は、生産指数の前月比がしっかりした上昇になりそうな4月分になる可能性が大きそうだ。

 

●2月分の先行DIは77.8%と景気判断の分岐点の50%を8ヵ月連続で上回った。速報値からデータが利用可能な9系列中、最終需要財在庫率指数(逆サイクル)、鉱工業生産財在庫率指数(逆サイクル)、新設住宅着工床面積、消費者態度指数、日経商品指数、マネーストック、東証株価指数の7系列がプラス符号に、新規求人数、中小企業売上げ見通しDIの2系列がマイナス符号になった。

 

●2月分の一致DIは62.5%と景気判断の分岐点の50%を8ヵ月連続で上回った。速報値からデータが利用可能な8系列中、生産指数、鉱工業生産財出荷指数、投資財出荷指数、商業販売額指数・卸売業、有効求人倍率の5系列がプラス符号に、耐久消費財出荷指数、商業販売額指数・小売業、輸出数量指数の3系列がマイナス符号になった。

 

 

●4月26日発表予定の2月分景気動向指数・改訂値では、先行CIに新たに実質機械受注(製造業)が加わる。機械受注の発表日は4月14日である。また在庫率関連データが4月19日発表の確報値段階でどのようにリバイスされるかが注目される。

 

●2月分景気動向指数・改訂値で、一致CIに労働投入量指数が新たに加わる。下方修正要因になる可能性が大きいと見る。また、一致DIで労働投入量指数は、毎月勤労統計速報値段階では、マイナス符号の可能性が大きい。他の系列の符号が変わらなければ、一致DIは速報値の62.5%から55.6%へ下方修正されよう。

 

●労働投入量指数は、雇用者数(非農林業)と総実労働時間指数(調査産業計)の2つの系列を掛け合わせて作られているが、労働力調査の雇用者数(非農林業)は2月分前月比+0.2%だ。総実労働時間指数(調査産業計)は毎月勤労統計のデータで2月分速報値は前月比▲2.7%である。毎月勤労統計の確報値の発表日は4月23日なので、4月26日発表の景気動向指数・改訂値では確報値が使われよう。また、生産指数関連データが4月19日発表の確報値段階で、また商業動態統計関連データが4月15日発表の確報値段階でどのようにリバイスされるかが注目される。

 

●3月分の先行CIの採用系列で速報値からデータが利用可能な9系列中、現時点で数値が判明しているのは、日経商品指数、東証株価指数、中小企業売上げ見通しDIの3系列である。日経商品指数、東証株価指数、中小企業売上げ見通しDIの3系列とも前月差プラスである。

 

●また、3月分の先行DIでは、数値が判明している日経商品指数、東証株価指数、中小企業売上げ見通しDIの3系列では、全系列がプラス符号になることが判明している。3月分速報値段階の先行DIは33.3%以上100.0%以下になることが確定している。
 

 

※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『2021年2月分景気動向指数(速報値)』を参照)。

 

(2021年4月7日)

 

宅森 昭吉

三井住友DSアセットマネジメント株式会社

理事・チーフエコノミスト

 

三井住友DSアセットマネジメント株式会社 理事・チーフエコノミスト

旧三井銀行(現三井住友銀行)で都市銀行初のマーケットエコノミストを務める。さくら証券チーフエコノミストなどを経て現職。
パイオニアである日本の月次経済指標予測に定評がある。身近な社会データを予告信号とする、経済・金融のナウキャスト的予測手法を開発。その他、「景気ウォッチャー調査」などの開発・改善に取り組んできている。「より正確な景気判断のための経済統計の改善に関する研究会」など政府の経済統計改革にも参画。「景気循環学会」常務理事。
著書に『ジンクスで読む日本経済』(東洋経済新報社)など。

著者紹介

連載【宅森昭吉・理事・チーフ エコノミスト】エコノミックレポート/三井住友DSアセットマネジメント

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