2021年2月分「機械受注」のデータ

本連載は、三井住友DSアセットマネジメント株式会社が提供する「宅森昭吉のエコノミックレポート」の『経済指標解説』を転載したものです。

 

2月分機械受注(除船電民需)は予想に反し前月比▲8.5%と2ヵ月連続減少と足踏み

 

製造業・前月比▲5.5%、非製造業(除船電民需)・前月比▲10.9%とともに連続減少

 

基調判断は、「持ち直している」から「持ち直しの動きに足踏みがみられる」に下方修正

 

1~3月期の見通し前期比▲6.0%は、3月分前月比+1.4%で達成。3月分は増加か

 

 

●2月分機械受注(除く船舶電力の民需ベース、以下、除船電民需と表記)の前月比は▲8.5%と2ヵ月連続の減少になった。3ヵ月移動平均は前月比▲2.6%で6ヵ月ぶりの減少になった機械受注(除船電民需)の前年同月比は▲7.1%で2ヵ月ぶりの減少になった。

 

●機械受注(除船電民需)の大型案件をみると、前回1月分では大型案件は0件であったが、今回2月分では大型案件は通信業の通信機の1件があった。

 

●2月分製造業の前月比は▲5.5%と2ヵ月連続の減少だ。2月分の製造業では17業種中、5業種で増加し、減少は12業種だった。

 

●2月分非製造業(除船電民需)の前月比は▲10.9%と2ヵ月連続の減少になった。電力業は前月比▲24.1%の減少となった。2月分の船舶・電力を含む非製造業全体では前月比▲13.9%の減少になった。非製造業12業種中、2業種が増加で10業種が減少となった。

 

●大型案件は、前回1月分は2件。内訳は、外需が2件(船舶1件、電子計算機等1件)であった。今回2月分は6件。内訳は民需が前述の1件、官公需が1件(防衛省、船舶1件)、外需が4件(鉄道車両1件、その他重電機1件、風水力機械1件、化学機械1件)であった。

 

●中小企業の動きを反映している部分がある代理店受注は2月分前月比▲7.5%と3ヵ月ぶりの減少となった。一方、前年同月比は▲8.3%と22ヵ月連続の減少になった。

 

●大型案件が4件あった外需は、機械受注(除船電民需)には含まれない。外需の2月分・前月比は+76.2%と大きく伸びた。5ヵ月連続の増加である。前年同月比は+115.9%と3ケタの増加で、5ヵ月連続の増加になった。最近の輸出の堅調さと整合的な動きであろう。

 

●内閣府の基調判断の推移をみると、19年10月分から20年3月分まで半年にわたり「機械受注は、足踏みがみられる」という判断であったが、新型コロナウイルス感染拡大の影響が大きく出た4月分では「機械受注は、足元は弱含んでいる」という判断に下方修正され、5月分では判断据え置きになった。6月分では「機械受注は、減少している」という判断にさらに下方修正され、7月分では判断据え置きになった。8月分で「機械受注は、下げ止まりつつある」に上方修正され、9月分でも据え置きになった。10月分で「下げ止まっている」に上方修正となったあと、11月分で「持ち直しの動きがみられる」に上方修正、12月分では「持ち直している」に3ヵ月連続で上方修正となった。前回21年1月分では「持ち直している」で判断据え置きになった。今回2月分では「持ち直しの動きに足踏みがみられる」に判断が下方修正された。機械受注(除船電民需)の3ヵ月移動平均が6ヵ月ぶりに減少したことなどを反映しているようだ。

 

●機械受注(除船電民需)1~3月期の前期比見通し前期比▲6.0%である。新型コロナウイルス感染拡大の状況下、企業が設備投資に慎重になっているとみられる。1~3月期の前期比実績は09年(平成21年)から昨年までの12年間でみると、上振れ7回、下振れ5回であり、若干上振れしやすい傾向がある四半期である。21年(令和3年)の見通しは単純集計値に過去3四半期平均の達成率93.4%をかけたものである。1~3月期の前期比見通しの▲6.0%を達成するためには、3月分が前月比+1.4%が必要である。3月分が前月比0.0%なら1~3月期の前期比は▲6.4%になる。3月分が前月比5.0%なら1~3月期の前期比は▲4.9%になる。

 

 

●景気ウォッチャー調査の設備投資関連・DIの20~21年の動きをみる。20年1月の現状判断DIが52.8(同9人)と18年12月分の55.0以来の50超であった。当時の設備投資関連・現状判断DIからは底堅さが感じ取れるようになってきていた。しかし、新型コロナウイルスの影響で現状判断DIは4月10.0(同5人)へと急落した。4月を底にその後、緊急事態宣言解除もあり、多少の上下はあったものの11月は50.0(同13人)まで持ち直した。しかし、その後は新型コロナウイルス感染再拡大の中、12月は44.4(同9人)、21年1月は39.3(同7人)、2月は37.5(同14人)と低下したあと、3月は47.5(同10人)に戻っている。3月のコメントには「客への訪問がまだできないため、設備投資計画についても最終的な詰めを行うことができず、内示情報などの取得ができない。(東海・一般機械器具製造業〔営業担当〕)」とコロナ禍で設備投資計画決定のもたつきを指摘するものがあった。

 

 

●一方、設備投資関連・先行き判断DIは19年11月には51.8(同16人)と1月以来の50超に戻ったが、そこから下落し、20年4月は18.8(同8人)と弱含んだ。新型コロナウイルスの影響によるところが大きい。4月をボトムに持ち直し、一進一退状態もあったが、9月に45.5(同11人)まで戻した。その後、10月は41.1(同14人)、11月は35.0(同5人)、12月で45.8(同12人)、21年1月(同7人)64.3、2月(同9人)44.4、3月(同9人)55.6と推移してきた。3月では「取引先から更に増産を依頼される状況であり、今後は設備投資や雇用も増やす計画である。(九州・電気機械器具製造業〔経営者〕)」と先行きが期待できるコメントも出ている。

 

●日本工作機械工業会によると、3月分の工作機械の国内向け受注額の前年同月比は+18.7%と、18年11月以来2年4ヵ月ぶりの増加になった。半導体市場の活況や自動車生産の回復により生産設備の需要が増加しつつあるようだ。3月分の機械受注のしっかりした関連データが出てきたおり、3月分の機械受注(除船電民需)は3ヵ月ぶりに前期比増加に転じる可能性が大きいと予測する。

 

 

※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『2021年2月分「機械受注」のデータ』を参照)。

 

(2021年4月14日)

 

宅森 昭吉

三井住友DSアセットマネジメント株式会社

理事・チーフエコノミスト

 

三井住友DSアセットマネジメント株式会社 理事・チーフエコノミスト

旧三井銀行(現三井住友銀行)で都市銀行初のマーケットエコノミストを務める。さくら証券チーフエコノミストなどを経て現職。
パイオニアである日本の月次経済指標予測に定評がある。身近な社会データを予告信号とする、経済・金融のナウキャスト的予測手法を開発。その他、「景気ウォッチャー調査」などの開発・改善に取り組んできている。「より正確な景気判断のための経済統計の改善に関する研究会」など政府の経済統計改革にも参画。「景気循環学会」常務理事。
著書に『ジンクスで読む日本経済』(東洋経済新報社)など。

著者紹介

連載【宅森昭吉・理事・チーフ エコノミスト】エコノミックレポート/三井住友DSアセットマネジメント

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