定年前後はお金に関する様々な誘惑があり、危険な罠にはまって老後破綻に陥る人も多いです。しかし、50歳を過ぎたらするべきこと、してはいけないことを知っておけば、老後のお金の不安は解消できます。今回は、通常は65歳から受け取る年金を60歳から「繰上げ受給」することのデメリットについて解説します。※本連載は、山中伸枝氏の著書『50歳を過ぎたらやってはいけないお金の話』(東洋経済新報社)より一部を抜粋・再編集したものです。

年金を60歳から「繰上げ受給」すると、30%も減額

(※写真はイメージです/PIXTA)
(※写真はイメージです/PIXTA)

 

公的年金は65歳になると受給資格が生じるのですが、実は受給開始年齢を繰り上げることができます。つまり60歳からでも受給できるのです。実は1割近い方が繰上げ受給を選んでいるという数字もあるくらいです。

 

でも、繰上げ受給を選ぶと、60歳から年金を受け取ることはできますが、反面、受け取れる額は少なくなります。どのくらい減るのかということですが、60歳になった時点から受け取った場合で、30%も減額されます

 

これだけ減額されるのに、繰上げ受給を選択する人の言い分は、「年金財政が今後どうなるかわからないので、取れるうちに取っておきたい」ということのようです。

 

しかし、そもそも年金の仕組みは、自分が払ってきた保険料がどこかにストックされていて、そこから取り崩していくものではなく、現役世代が払っている保険料を年金として受け取る賦課方式が採られています。

 

つまり、「取れるうちに取っておきたい」という発想自体が間違っているのです。

 

ちなみに一度、繰上げ受給を選んでしまうと、途中から「繰上げ受給をいったん止めて、65歳から受け取れるようにしたい」と申し出ても、修正は利きません。繰上げ受給を選んだ時点で生涯、30%も減額された年金を受け取り続けるしかないのです。

 

また、繰上げ受給をすると、重い障害を負っても障害年金の受給ができません。障害年金は繰上げ受給の老齢年金より金額が多いのですが、その受給権を失うのです。

 

この選択は、本当に年金が必要になったときの収入源として、非常に心許ないものです。筆者は、繰上げ受給は「絶対に」やってはいけないことだとさえ思っています。

 

60歳だったらまだまだ十分に働くことができます。60歳で働かずに隠居するなどという選択肢はないものと思ってください。

 

そして実際に65歳になったら、今度は「65歳から年金を受給する必要があるのかどうか」を考えてみてください。

 

もちろん、これまでのハードワークで身体はボロボロ。もう働く意欲も気力もないし病気がちだから、一刻でも早く年金を受け取れるようにして、少なくとも金銭面は安心したいと思う人もいらっしゃるはずです。

 

このように、どうしても65歳から年金を受給しなければならない明確な理由、諸事情がある人は、65歳から受け取ればいいでしょう。

 

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50歳を過ぎたらやってはいけないお金の話

50歳を過ぎたらやってはいけないお金の話

山中 伸枝

東洋経済新報社

定年前後の5年間、お金との付き合いには罠がいっぱいあります。老後の生活が始まる前に破綻してしまう人もいるくらい、とっても危険な罠です。この本では、その危険な罠にはまらないよう、筆者自身が実際に本人たちから聞いた…

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