定年前後はお金に関する様々な誘惑があり、危険な罠にはまって老後破綻に陥る人も多いです。しかし、50歳を過ぎたらするべきこと、してはいけないことを知っておけば、老後のお金の不安は解消できます。今回は、定年退職した投資未経験者が、退職金3000万円のほとんどを株式投資とFXにつぎ込み、大損をしてしまった話です。※本連載は、山中伸枝氏の著書『50歳を過ぎたらやってはいけないお金の話』(東洋経済新報社)より一部を抜粋・再編集したものです。

退職金3000万円を「株式投資」と「FX」に投資するが

某広告代理店を無事に定年退職したBさん。話はいまから8年前に遡ります。Bさんは広告代理店で金融機関を担当する営業でした。大手証券会社の広告、イベントなどの仕切りを担当していて、かねてから定年後、資産運用をする必要性については十分に理解していました。

 

ただ、当時はまだつみたてNISAやiDeCoなどの制度は存在しておらず、投資といえば、毎月分配型の投資信託や株式投資、FXが中心という時代でした。

 

Bさんは退職金を有利に運用しようと、定年前からいろいろ戦略を練っていました。ちなみに、退職金の額は3000万円だったそうです。

 

Bさんの戦略はこうです。まず3000万円のうち200万円は、当座の資金ということで普通預金に残しておく。そうなると、投資に回す資金は2800万円ですが、大事な退職金なので、リスクの高い投資商品で運用するつもりはないということでした。

 

もちろん株式についてはデイトレードをしようなどとは考えておらず、長期間持ち続けるつもりでいました。できれば配当金が高く、倒産するリスクの低い会社で、株価が乱高下しなければベストです。

 

一方、日本の財政赤字が今後さらに深刻化し、円の価値が目減りするリスクがあるため、退職金の一部を米ドルにしようと考えていました。そして、退職金を受け取ってすぐ、これらを実行に移したのです。

 

まず米ドル投資ですが、外貨預金は為替手数料がやや高めということもあるので、コストが安いFXで投資することにしました。金額は300万円を証拠金として、8倍のレバレッジで米ドルを購入しました。

 

FXは証拠金を担保にして、その25倍まで取引ができます。300万円を証拠金として預ければ、最大で7500万円まで外貨の売買ができるわけですが、レバレッジは借金をして取引しているのと同じです。

 

Bさんはそのリスクを抑えるため、8倍で取引しました。8倍ということは、2400万円相当の米ドルを持っているのと同じことになります。

 

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50歳を過ぎたらやってはいけないお金の話

50歳を過ぎたらやってはいけないお金の話

山中 伸枝

東洋経済新報社

定年前後の5年間、お金との付き合いには罠がいっぱいあります。老後の生活が始まる前に破綻してしまう人もいるくらい、とっても危険な罠です。この本では、その危険な罠にはまらないよう、筆者自身が実際に本人たちから聞いた…

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