ある日突然、老親が緊急搬送で入院という事態が起こります。介護は毎日のことなので、使命感だけでは長続きはしません。10年以上、仕事をしながら父母の遠距離介護を続けてきた在宅介護のエキスパートは、「介護する人が幸せでなければ、介護される人も幸せにはならない」と訴えます。入院や介護に備え、知っておきたい制度やお金の話から、役立つ情報、具体的なケア方法までを明らかにします。本連載は渋澤和世著『親が倒れたら、まず読む本 入院・介護・認知症…』(プレジデント社)から抜粋し、再編集したものです。

介護のとき洋服は機能性を一番で考える

洋服は見栄えより機能性や素材を重視する

 

麻痺などで介助がしにくいことがありますが、洋服は介護用のものでなくても、洋品店で購入できるもので十分対応できます。オムツ使用になったら、ズボンはウエストゴムの2サイズ上くらいの方が着脱がしやすくなります。

 

私の母は女性用の3Lを購入していますが、とても介助が楽です。イメージはモンペです。リハビリパンツ+パッドは体積がありますし、高齢者は便秘で腹部パンパンになりやすいのです。上着も下着も若干、大きめにすると硬直時でも着脱がしやすくなります。

 

腕が動かしにくい人で車いすを使用しているのなら、上着は背を前にして腕を通し保温するのでも寒さがしのげます。そして、洋服の素材はポリエステル混などの伸びる布が良いと思います。しわにならず、よく乾き、汚れも落ちやすいからです。

 

反対に綿素材は伸縮性がなく、便などがつくと色が染み込みやすく汚れが落ちにくくなります。介護のときは機能性が一番、その上でおしゃれをすれば良いと思います。

 

季節を感じさせないコーディネート

 

親が認知症の場合、自分で着替えができることは喜ばしいのですが、温度や季節に無頓着になるため、季節はずれの衣類を着用していることがあります。上着が花柄、ズボンがチェックなどのコーディネートも平気なようで、トレンドは自分で決めるという勢いです。

 

今後、新しい洋服を買い揃えるのなら、例えば上着かズボンやスカートのどちらかを無地と決めておくと、親が自分で着替えてもチグハグな取り合わせにならなくなります。素材も、春や秋を意識したものを購入しておくと、夏や冬など温度が極端なときでも、上着で調整ができて、さほど極端に季節はずれのものを着用することが防げます。

 

パジャマを着なくても1日1回の着替えで十分

 

若者でも、最近はパジャマを着ないで部屋着で過ごす人も多くいます。介護に突入したら夜寝るときはパジャマという考えは不必要です。想像してみてください。施設でも100人以上の高齢者を毎日パジャマに着替えさせているとは思えません。

 

とある施設で聞いた実際の話、夜、パジャマへの更衣介助希望があっても日に1〜2名が限度、それ以上の人に要求されると、コール対応や排せつ介助ができなくなると聞きました。私の母の場合も、夜に次の日の洋服に着替えて寝て、朝、失禁がなければそのまま小規模多機能に送り出します。

 

冬はインフルエンザやノロウイルスが流行るので、感染症予防のためにも、夜の着替えだけは確実に行うと良いと思います。

 

むくみが出たら、靴は圧迫させない程度のものを

 

靴は昔のサイズで選ぶと危険です。足首やふくらはぎだけでなく、足の指もむくみますので、幅広になるのです。介護シューズを選ぶのなら、マジックテープ付きのタイプだと、その日のむくみ具合によってベルトで調整できます。ファスナータイプもありますが、少し厚手の靴下をはいたときなど、閉まりにくくなります。

 

私のお薦めはベルトタイプです。またメーカーによっては、片足だけや左右違うサイズでの購入もできます。むくみ対策としては、横に寝かせると下の手がむくみやすいので、むくみを感じたら向きを変えてみましょう。そして、手足の先から心臓に向かってマッサージをすると血流が良くなってむくみの改善に効果的です。

 

渋澤 和世
在宅介護エキスパート協会 代表

 

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渋澤 和世

プレジデント社

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