「仮分割の仮処分」を利用すべき場合とは?
①扶養を受けていた共同相続人の生活費や施設入所費用の支払を早急にしなければならない場合
②葬儀費用や相続税など相続に伴う費用の支払が必要な場合
③被相続人の医療費や被相続人の債務(借金)の支払が必要な場合
*いずれも、遺産の預貯金を下ろさなければ払えないような場合であることが前提
上記のなかでは、特に①のケースが必要性が高いと考えられます。
仮分割の仮処分を申し立てるために必要な証拠や書類
上記①(扶養を受けていた共同相続人の生活費や施設入所費用の支払を早急にしなければならない場合)では、仮分割を申し立てる人の収入資料(源泉徴収票や課税証明書、確定申告書、家計収支一覧表、預金通帳、陳述書など)が必要になります。
上記②(葬儀費用や相続税など相続に伴う費用の支払が必要な場合)、③(被相続人の医療費や被相続人の債務(借金)の支払が必要な場合)では、債務や費用についての明細資料、報告書などを用意する必要があります。
仮分割の仮処分決定が出るまでの期間は?
仮分割の仮処分は、調停又は審判を申し立てることが前提です。
したがって、第一回調停(審判)期日のなかで、この仮処分の審理を行うことになり、その後に決定が出ることになります。もっとも、緊急性の高い事案の場合は、第一回目の期日前に、相続人全員から書面で陳述を聴取して決定を出すこともありうるでしょう。
「仮分割の仮処分」決定文はどうなるのか
「預金債権を、同目録記載の申立人取得額のとおり申立人に仮に取得させる」という決定文となります。また、目録のなかでは、預金債権の種別(普通か定期か)、口座番号、取得金額が特定されます。
ちなみに担保については、仮処分手続ではあるものの、事案の性質上担保は不要です。
※本記事は、北村亮典氏監修のHP「相続・離婚法律相談」掲載の記事・コラムを転載し、再作成したものです。
北村 亮典
こすぎ法律事務所弁護士
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