ある日突然、老親が緊急搬送で入院という事態が起こります。介護は毎日のことなので、使命感だけでは長続きはしません。10年以上、仕事をしながら父母の遠距離介護を続けてきた在宅介護のエキスパートは、「介護する人が幸せでなければ、介護される人も幸せにはならない」と訴えます。入院や介護に備え、知っておきたい制度やお金の話から、役立つ情報、具体的なケア方法までを明らかにします。本連載は渋澤和世著『親が倒れたら、まず読む本 入院・介護・認知症…』(プレジデント社)から抜粋し、再編集したものです。

口の中の細菌も誤嚥性肺炎の原因の一つ

誤嚥してむせている

 

ご飯を口いっぱい入れて食べたりすると、むせることがあります。これを誤嚥といいます。若いうちは食べ物が気管に入ることはありませんが、高齢になると舌や喉の筋肉がうまく働かず入ってしまうことがあります。こうなると窒息や誤嚥性肺炎のリスクが高まり非常に危険です。

 

むせているときは、思いきりせき込ませてあげるのが正解です。背中を叩いたりしなくても自己回復できるなら本人に任せてください。慌てて水を飲ませるのはNGです。そもそも、嚥下機能が衰えてくると利用する、とろみ剤はなぜ使うのでしょうか? それは、喉を通るときにゆっくりと通った方がむせにくいからです。

 

ドレッシング、はちみつなど具体的にとろみの濃度を試してみて、どのくらいが適しているのかも確認しておきましょう。ショートステイなど、普段は通っていないような施設だと、とろみを利用する場合に、濃度を質問されることもあります。牛乳などの乳製品は分離するのでとろみがつきにくく、多く入れすぎると溶けずに下にかたまるので注意してください。

 

喉越しの良いプリンなどのデザートと一緒に流し込むように飲み込んでもらという。(※写真はイメージです/PIXTA)
喉越しの良いプリンなどのデザートと一緒に流し込むように飲み込んでもらという。(※写真はイメージです/PIXTA)

 

誤嚥性肺炎予防はプリンをデザートに

 

口の中の細菌も誤嚥性肺炎の原因です。食後は口の中をきれいにしておきたいのですが、なかなか思うように歯磨きをさせてくれません。食べたものが残ってしまうことも多く、口臭の原因にもなります。わが家では口の中に残って散らばっている食べかすをまとめる意味で、喉越しの良いプリンなどのデザートと一緒に流し込むように飲み込んでもらっています。力ずくで何とかしようとしてもムダで、この方がよほどスムーズです。

 

お茶には殺菌作用があるので自分でコントロールできるうちは最後に少量を飲ませてぶくぶくとしてもらいましょう。吐き出せれば良いのですが飲み込んでもお茶ならば安心です。食後のうがいは有効ですが、うがい薬では飲んでしまうことが心配です。お茶だとしても何もやらないよりずっと良い、簡単で少しでも効果のある方法を積み重ねれば良いと思います。

 

ゴボッという咳にはスムージー

 

母が肺炎で入院する前は、大きないびきと、ゴボッと音をたてる咳をよくしていました。このゴボゴボという音は、唾液が気管に落ちる音で、誤嚥性肺炎の可能性が高いようです。医師の大谷義夫氏が誤嚥性肺炎予防になるスムージーのレシピを紹介しています。これは、私も母が肺炎から退院した後は、真似させてもらっています。スムージーは適度なとろみがあり介護向きだと思います。ひとり分のスムージーが作れるスムージーミキサーが便利です。

 

材料
・りんご 1個 
・ヨーグルト 180g 
・バナナ 1本
・はちみつ 適量
・ブロッコリースプラウト 30g

 

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親が倒れたら、まず読む本 入院・介護・認知症…

親が倒れたら、まず読む本 入院・介護・認知症…

渋澤 和世

プレジデント社

高齢化が進む日本では現在、介護ストレスによる介護疲れが大きな問題だ。そこで本書では、仕事や育児との両立を前提に、「完璧な介護」ではなく「頑張りすぎない介護」を提案する。 正社員としてフルタイムで働きながら、10年…

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