家族と一緒の食材で調理し、時間をかけない
高齢者が食べやすいものはなに?
基本的には柔らかいものが中心になります。肉類は冷えると硬くなり噛みきれなくなるので、再度温めて小さくサイズダウンしてください。ひき肉を利用したハンバーグや焼売、ロールキャベツなどもお薦めです。魚は、骨抜きの状態で販売されているものがあります。多少割高ですが高齢者には安心です。野菜は繊維質が多いので食べづらいこともあります。
食べやすいメニューを考えることも大切です。同じサツマイモなら蒸らしたものよりスイートポテトの方が食べやすいというイメージです。調理食材は、刻みすぎると口の中に残り不衛生になりやすいので、野菜はみじん切りよりも薄い輪切りが火も通りやすく適しています。具沢山の味噌汁は根菜や葉物などを軟らかく煮て、入れ歯がなくても歯茎でつぶせるくらいがちょうど良いくらいです。
卵豆腐、カレー、ハヤシライス、あんかけも食べやすい献立です。親のために手間をかけるのではなく、家族と一緒の食材で調理を工夫しながら、余計な時間をかけないようにしています。
市販品で栄養摂取も気にかける
私の母は平日の昼食は小規模多機能で、バランスのとれた食事をとっています。一食でも人間らしい食事ができているのは手抜きの逃げ道になります。高齢になると栄養バランスや摂取量を確保することは難しくなります。わが家では母の朝食に豆乳を必ず添えています。大豆そのものは消化の良い食品ではないのですが、豆乳になると消化吸収率は92〜98%にもなります。特別養護老人ホームなどではハーフ食というものがあります。
食事の量が半分になるのではなく補助栄養食で補うことで1日のカロリーは変えないというものです。家庭でも真似してみてはどうでしょうか。お手軽なのが薬局で手に入る明治のメイグット、メイバランスなどの市販商品です。これらを上手にとり入れてみてください。それでもハードルが高いのであれば、スーパーで手軽に手に入るカロリーメイトや1日分の野菜の栄養素を含んだ高カロリーなゼリー状飲料もお薦めです。動かない高齢者は1日、1200キロカロリーでも十分です。
栄養が足りないと感じた日や、都合で食事がとれなかったとき、通院時、診察が長引いて水分がとれないときも、ゼリー状飲料なら食器もいらずそのまま口から吸いこめるので便利です。入院すると、急激に痩せることもありますが、体重1キロ増やすには7000〜8000キロカロリーが必要です。これを食の細い高齢者がとるのは容易ではありません。食べる時間と量はコンパクトにしつつ、カロリーは減らしたくないときも高カロリーゼリーはうってつけです。
母が誤嚥性肺炎で入院をしていたとき、お粥も食べられない時期がありました。病院ではご飯の代わりにネスレのアイソカルを使用していました。絶食期間後も、まずはこのアイソカルから始まります。病院でも選ばれている優れものなので、在宅復帰後も通販で購入して、食が進まないときに利用しました。
水分は液体にこだわらない
母の水分量は1日1200㏄を目安にしています。昼間、施設で700㏄は飲んでいるようなので、家では500㏄がノルマです。水分は食べ物にも含まれていますし、一概に液体にこだわらなくても大丈夫です。基本的なことですが、㏄と㎖とgは同じということを利用します。実はゼリーは介護現場では水分補給としてカウントされているのです。
ということは、100gのゼリーは100㏄の水と同じなのです。水分はとても大切で、とらないと脳梗塞の原因にもなります。むせやすく、液体が苦手な場合は、とろみ剤の利用だけでなく、ゼリーで代用もできますので、とくには楽をして変化もつけてみてください。
渋澤 和世
在宅介護エキスパート協会 代表
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