認知症患者の徘徊、年1万件以上…「保護はごく一部」の恐怖

ある日突然、老親が緊急搬送で入院という事態が起こります。介護は毎日のことなので、使命感だけでは長続きはしません。10年以上、仕事をしながら父母の遠距離介護を続けてきた在宅介護のエキスパートは、「介護する人が幸せでなければ、介護される人も幸せにはならない」と訴えます。入院や介護に備え、知っておきたい制度やお金の話から、役立つ情報、具体的なケア方法までを明らかにします。本連載は渋澤和世著『親が倒れたら、まず読む本 入院・介護・認知症…』(プレジデント社)から抜粋し、再編集したものです。

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認知症の初期は老化による物忘れと判断がつきにくい

親の様子が何か違う、もしかして認知症?

 

配偶者や子など近い血筋であるほど、認知症には気づかないものです。たまに会う親戚に、親の様子がおかしくない?などと言われてから気づくケースも多々あります。認知症の初期は老化による物忘れと判断がつきにくい上、さほど困った症状もないからです。片付けができなくなる、すぐに忘れるなどの兆候が必ず出ますので、おかしいと感じたら早期の受診が重要です。

 

最近は、健常者と認知症の中間に軽度認知障害(MCI)という認知症予備軍の状態があることがわかってきました。この段階で治療をすると回復も見込めます。

 

認知症の徘徊は年間1万人以上という。(※写真はイメージです/PIXTA)
認知症の徘徊は年間1万人以上という。(※写真はイメージです/PIXTA)

 

どうする、認知症の診断と治療

 

「認知症かもしれない」と疑っても、物忘れ外来を受診するのは、なかなかハードルが高いです。私の場合、母が進行してから気づいたため、病院には拒まれず連れて行くことができました。そして最初から認知症の検査や判断が一度でできるよう、自宅から近い認知症専門医を選びました。

 

ですが、物事の判断ができる親をいきなり、物忘れ外来というのは拒絶される可能性があります。ウソも方便、こんなときは、「70歳以上は脳の検査をすることが義務となった」と伝え、子も付き添うのが安心です。

 

認知症と診断されたら

 

最初は認知症の専門医、診断がおりれば、以降はかかりつけ医に変えることをお薦めします。特殊な科は大病院になるので、遠いと交通費もかかりますし、待ち時間が長いため通い続けるのは負担になります。認知症のほとんどは症状が改善することがなく、医師にできることは限られています。診察と言っても最近の様子の確認と処方箋の発行です。ただし、薬は身体との相性があるので合う薬が決まるまでは専門医に任せた方が安心です。

 

親は認知症になった方が幸せだ、という考え方に発想を転換できないか?

 

私の母は都合の良いことは覚えていて、悪いことは知らないふりをするか無視しています。そして、感情のまま怒りも表現できています、昔は我慢する人だったのに、認知症のためまるで別人となったかのようです。父や兄が亡くなったことも覚えていません。神様が忘れさせてくれているのでしょうか。

 

在宅で同居をしていても、割とその場限りのぶつかり合いなので後腐れがありません。ある意味、楽と考えることもできます。これが、認知症ではない理解ができる親だとしたら確執が起こる、親が孤独を感じ寂しい思いをする場合もあります。認知症になったら困る、どうしよう、と嫌な話ばかり先行するかもしれませんが、良いことに目を向けてみてください。時間はかかりますが、いつか受け入れられる日が来ます。

 

よくある家族会には参加をしない

 

心が楽になるから家族会に参加しようと本に書いてあることが多いのですが、参加は向き不向きがあると思います。家族会は平日に実施されることが多いのですが、仕事をしていると参加は難しいです。休暇も毎回はとれないでしょう。そして、注意してほしいのは「共感疲労」です。人の話に入れ込みすぎて疲弊する、周りの人に遠慮して話せなかった人も多くいます。

 

家族会に参加するのなら、自分の悩みを話して、ひとりだけつらいのではないという共感が生まれることが大切です。どちらかというと、定年を過ぎた方々が集まる家族会は、必要以上に自分の経験を相手のためと思って悪気なく強制してくるものです。それならばまだSNSなどで知らない人に愚痴ったりする方がはけ口になります。

 

例えば、娘、嫁、妻、夫、男性など立場が同じ人が集まる会であれば参加する価値があります。気持ちの共有は同じ立場でないとわからないことも多いからです。

「在宅介護エキスパート協会」代表

1964 年、静岡市生まれ、川崎市育ち。NEC 関連会社(現職)でフルタイム勤務の中、10 年以上に渡り遠距離・在宅介護を担う。両親の介護をきっかけに社会福祉士、宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナーなど福祉に直接的・間接的に関係する資格を取得。その経験や知識を多くの方に役立てていただけるよう「在宅介護エキスパート協会」を設立、代表を務める。
2人の子どもに恵まれるも、両親が同時期に脳血管障害、認知症、骨折、肺炎で入退院を繰り返す。長年にわたり仕事、子育て、介護(遠距離介護4年・在宅介護8年)の「トリプルワーク」を経験。仕事をしながらの育児、介護にストレスが極限にまで達し、介護疲れを起こす。書籍や情報サイトなどを頼るも、「介護の常識」は、仕事や育児との両立をしている人にとっては、全てこなすことなど到底できない理想論であることを痛感する。その後、「自分でもできる介護」を自力で確立することを決意。アイデア発想講師としての知識を生かし、それまでの「完璧な介護」から「自滅せず親も家族も幸せになる介護」へと発想の視点を変え、現代人のための介護思考法を独自に研究する。

著者紹介

連載親の入院、介護ですぐやること、考えること、お金のこと

親が倒れたら、まず読む本 入院・介護・認知症…

親が倒れたら、まず読む本 入院・介護・認知症…

渋澤 和世

プレジデント社

高齢化が進む日本では現在、介護ストレスによる介護疲れが大きな問題だ。そこで本書では、仕事や育児との両立を前提に、「完璧な介護」ではなく「頑張りすぎない介護」を提案する。 正社員としてフルタイムで働きながら、10年…

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