2025年には、日本の中小企業の約半分にあたる127万社が「後継者不在」になると予想されています。今回は、オーナー企業のあとを継いだ「雇われ社長」に降りかかった経営の問題と解決策について見ていきます。※本連載は、植木康彦氏、髙井章光氏、榑林一典氏、宇野俊英氏、上原久和氏の共著『ゼロからわかる事業承継・M&A90問90答』(税務研究会出版局)より一部を抜粋・再編集したものです。

経営に無関心な相続人から「株式を集約」する対策3つ

高齢な株主がいる場合には、相続によって、経営に無関心な相続人に株式が分散してしまうリスクがありますので、対策を講ずる必要があります。

 

会社の基本的なルールは会社法とそれぞれの会社が作っている定款によります。その定款において、予め、株主について相続が生じた場合には、相続人に対して強制的に会社が株式を買い取ることができる旨の規定を設定しておけば、相続が生じても株式は分散することなく、会社にて購入することができます。会社が購入した株式については議決権はないのですが、定足数を決める場合の分母の対象外となりますので、定足数を確保するために一定の効果があります。

 

さらに、5年間株主名簿の住所に株主総会招集通知を送っても住所が変わっているため届かず戻ってきてしまうような場合には、会社は当該株式の売却を裁判所に求め、会社役員がこれを購入することも有効な措置となります。また、状況によっては、無関心な株主に対して、役員から声をかけて適正価格での当該役員への売却を依頼することも検討しても良いと思います。

 

なお、9割を有する大株主は残りの少数株主の株式を強制的に購入することができますので、例えば、第三者に事業を承継するため全株式を譲渡しようとする場合には、大株主が少数株主の株式を取得してから、第三者に全部の株式を譲渡することが可能です。

 

 

 

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ゼロからわかる事業承継・M&A90問90答

ゼロからわかる事業承継・M&A90問90答

植木 康彦、髙井 章光、榑林 一典、宇野 俊英、上原 久和

税務研究会出版局

●本書は、事業承継時に想定される税務、法務、M&Aなどに関して、それぞれの分野の専門家が実務上起こりうる問題点を踏まえてQ&A形式でわかりやすく解説しています。 ●本書の特徴は、以下があげられます。 ・ベーシックな…

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