倒産手続の方法には「私的整理」と「法的整理」がある
また、最終的に負債を処理するためにはどうしたらよいのでしょうか。廃業後の老後の生活も心配であり、保証債務への対応についてもどうしたらよいか教えてください。
A. 債務超過であって、廃業後に負債が多く残ってしまう場合には、倒産手続を利用して当該負債の処理を行うことになります。倒産手続には、金融負債のみを対象として債務免除を求める私的整理と、取引先の負債も対象として処理を行う法的整理があります。
私的整理で進める場合は、金融負債以外の負債はそれほど多くなく、新たな取引を行わず、既存の取引のみを最後まで履行する対応の中で、預貯金や売掛金の回収金などで完済できるような場合に、最後に残った金融負債のみの処理を行うことになり、特定調停や特別清算又は地域経済活性化支援機構の廃業スキームの利用が考えられます。
他方、資金が不足して取引先への支払が現状ではできないような場合には、債権者平等の下で、取引先も含めて整理する方法として、自己破産を検討することになります。
いずれも裁判所の手続であるため、早期段階から専門の弁護士に相談する必要があります。
債務超過で廃業する場合の負債処理法は?
債務超過であっても事業が健全であれば、債務と事業を切り離してM&A手続によって事業を第三者に譲渡し、残った負債を私的整理などで処理することになりますが、事業を譲渡することもできないような場合には、事業を清算する場合の費用等を見込んだ上で、最終的にどの程度の負債が残ってしまうのかを見極め、その負債の状況に応じた手続を選択することになります。
残る資金が多いほど、円滑な手続を選択することができますので、早期に専門の弁護士に相談して、早期かつ円滑に廃業を実施することになります。在庫をいかにして高く処理するか、また今後の経費をいかに少なくするかを検討し、廃業手続を開始する日と完全に事業活動を停止する日程を決めて対応することになります。
さらに、優良店舗を従業員にて引き継ぐような意向があれば、資産(営業権評価ができる場合には営業権を含む)について適正価格で当該従業員に対して譲渡する方法にて、店舗の閉店費用を圧縮し、従業員による第二創業を進めることも検討します。
債務超過企業においては、これらの資産処分について、債権者から見て詐害行為とみなされないように、資産譲渡処分においては適正価格であることを説明できるよう、相見積もりを取るなどして資料を残すことがポイントとなります。
企業が廃業する前提にて負債を処理する方法として、裁判所が選任した管財人によって処理する自己破産のほか、依頼した弁護士が主導して負債処理を円滑に進めながら、最終的には債権者との協議によって負債を処理し、会社を清算する私的整理、つまり、特定調停や特別清算があります。
ただし、これらの話し合いによって負債を処理する私的整理は、話し合いでまとめなければならないため、債権者数が最大でも20社くらいが限度であり、多くの一般取引先に対して多額の負債が残ってしまう場合には、裁判所の管理下にて手続を進める破産を選択せざるを得ません。
なお、負債が金融負債のみであり、メインバンクの支援を得ることができる状況であれば、会社の金融債務をその保証債務と一緒に処理する方法として、地域経済活性化支援機構の廃業支援のスキームを利用することも考えられます。
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