母「土地は全部私が貰ったの!」父の死後、遺産めぐり親子が…

「我が家は大丈夫」と思っている家庭こそ、相続発生時、トラブルが発生してしまうものです。事前に知識を身につけ、もしもの時に備えましょう。今回は、遺産分割協議後に遺言書が見つかった場合、遺産分割協議を無効にすることはできるのか、見ていきましょう。

医師の方はこちら
無料メルマガ登録はこちら

母の主張「土地はすべて私が貰った」しかし真実は…

父が亡くなりました。相続人は、母と、子である私長男、次男、三男、四男です。

 

父は広土地をいくつか所有していましたが、母が「お父さんの土地は私が生前にお父さんからもらったものだ」といい張り、なかなか協議に応じようとしませんでした。

 

我々としては、母がすべて遺産を相続したとしても、母が亡くなったら子どもたちに相続ということになる見通しだったので、やむなく母の意向を受け入れ、父の遺産はすべて母が相続する、という遺産分割協議をしました。

 

しかし、その約1年後、父の自筆証書遺言が見つかりました。その内容は、遺産の土地は、母ではなく、我々子どもたちにそれぞれ相続させる、という内容の遺言書でした。

 

もし、この遺言書の存在を知っていれば、母にすべて相続させるという遺産分割協議はしなかったと思います。今から、遺産分割協議を無効にすることはできるでしょうか。

 

(※画像はイメージです/PIXTA)
(※画像はイメージです/PIXTA)

合意にあたり錯誤があれば無効を主張することができる

A.遺産分割協議とは、法的にいえば、遺産の処分に関する相続人間の合意ということになります。そして、その合意をするにあたって錯誤がある場合には、その合意は無効であると主張することができます。

 

錯誤とは、簡単にいえば「もしその事実を知っていれば、こんな合意はしなかった。」という状況のことです。これを本件についていいかえれば、遺産分割協議を後から無効とできるかどうかは

 

「もし遺言書の存在を知っていれば、こんな遺産分割協議はしなかった」

 

といえるかどうか、ということが問題となるわけです。

 

この点について判断をしたのが、最高裁平成5年12月16日判決です。

最高裁の判断「遺産分割協議は無効」その理由は?

この最高裁は、

 

「相続人が遺産分割協議の意思決定をする場合において、遺言で分割の方法が定められているときは、その趣旨は遺産分割の協議及び審判を通じて可能な限り尊重されるべきものであり、相続人もその趣旨を尊重しようとするのが通常であるから、相続人の意思決定に与える影響力は格段に大きいということができる。」

 

と述べた上で、

 

「遺言の存在を知っていれば、特段の事情のない限り、本件土地を妻が単独で相続する旨の本件遺産分割協議の意思表示をしなかった蓋然性が極めて高いものというべきである。」

 

と判断し、遺産分割協議は無効になるとの判断を示しました。

 

こすぎ法律事務所 弁護士

慶應義塾大学大学院法務研究科卒業。神奈川県弁護士会に弁護士登録後、主に不動産・建築業の顧問業務を中心とする弁護士法人に所属し、2010年4月1日、川崎市武蔵小杉駅にこすぎ法律事務所を開設。

現在は、不動産取引に関わる紛争解決(借地、賃貸管理、建築トラブル)、不動産が関係する相続問題、個人・法人の倒産処理等に注力している。

毎月1回、大家さん向けの役に立つ裁判例のメールマガジン発行(メールマガジンご希望の方は、こちらの問合せフォームにて「メールマガジン登録希望」と書いてお申し込みください)。

北村氏が運営するメディア、 川崎・武蔵小杉の相続・離婚法律相談 はこちら!

著者紹介

連載事例で見る「相続・離婚トラブル」の解決法

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

登録していただいた方の中から
毎日抽選で1名様に人気書籍をプレゼント!
会員向けセミナーの一覧