米雇用統計、回復ペースの持続が重要

2月の米雇用統計では、就業者数は市場予想を上回って増加し、失業率も低下(改善)しました。米国では新型コロナウイルスの新規感染者数が1月から減少傾向で、経済活動が徐々に再開している動きと整合的です。ただ、長期失業者の改善などに課題も残されています。今後は回復の持続性が求められることとなりそうです。※本連載は、ピクテ投信投資顧問株式会社が提供するマーケット情報・ヘッドラインを転載したものです。

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米雇用統計:就業者数は前月比37.9万人と市場予想を上回り、前月分も上方修正

米労働省が2021年3月5日に発表した2月の米雇用統計で非農業部門就業者数は前月比37.9万人増と、市場予想(20万人増)、前月(16.6万人増と速報値4.9万人増から上方修正)を上回りました(図表1参照)。

 

月次、期間:2021年1月(左)~2021年2月(右)、前月比、太字は2月 出所:ブルームバーグのデータを使用してピクテ投信投資顧問作成
[図表1]米国の非農業部門就業者数と主なセクターの変化 月次、期間:2021年1月(左)~2021年2月(右)、前月比、太字は2月
出所:ブルームバーグのデータを使用してピクテ投信投資顧問作成

 

2月の失業率(通常の失業率、U3)は6.2%と、市場予想(6.3%)、前月(6.3%)を下回りました(図表2参照)。ただ、失業者に加え経済的理由によるパートタイム雇用者などを加えたU6失業率は2月が11.1%と前月から横ばいでした。

 

月次、期間:2018年2月~2021年2月、長期失業者は27週以上 出所:ブルームバーグのデータを使用してピクテ投信投資顧問作成
[図表2]米失業率(U3、U6)と長期失業者の割合の推移 月次、期間:2018年2月~2021年2月、長期失業者は27週以上
出所:ブルームバーグのデータを使用してピクテ投信投資顧問作成

どこに注目すべきか:就業者数、娯楽産業、U6失業率、長期失業

2月の米雇用統計では、就業者数は市場予想を上回って増加し、失業率も低下(改善)しました。米国では新型コロナウイルスの新規感染者数が1月から減少傾向で、経済活動が徐々に再開している動きと整合的です。ただ、長期失業者の改善などに課題も残されています。今後は回復の持続性が求められることとなりそうです。

 

まず、非農業部門就業者数の動向を部門別に振り返ります。2月の就業者数が前月比37.9万人と増加した背景は飲食や宿泊などを含む娯楽部門の増加が大きく貢献しています(図表1参照)。

 

米国のレストランの予約率をリアルタイムデータで見ると、年初には前年比8割近く減少していた予約率が、足元では前年比約2~3割程度の減少(なお、1年前の3月月初の予約数は小幅な下落であった)にまで回復しており、回復の原動力と見られます。

 

また、昨年の水準を依然下回っていることは、雇用者数の改善余地が残されているとも見られます。同じことはテーマパークにも見られます。フロリダ州は昨年夏には入場制限付きながら先行してテーマパークを開園させましたが、営業をほぼ停止していたカリフォルニア州も来月から入園を限定での営業再開が発表されました。ワクチン接種の拡大で今まで弱かった部門での雇用の拡大が見込まれます。

 

娯楽以外では、製造業の就業者数にも堅調さが見られます。ヘッドライン3月2日号『2月のISM製造業景況指数、不安は物流ぐらい』で述べた米ISM製造業景況指数の改善とも整合的です。

 

なお、建設部門の減少は寒波の影響と思われます。

 

次に、失業率も低下して雇用市場の改善を示しました。労働参加率は61.4%と上昇はしていませんが、前月と同水準の中での失業率が低下しています。

 

ただ、質の点に目を向けると課題も残ります。正規雇用を希望するも、経済的な理由によるパートタイムを含めた広義の失業率(U6)は11.1%で横ばいでした。

 

また、全失業者に占める長期(27週以上)失業者の割合は41.5%とじりじりと上昇しています(図表2参照)。

 

米労働省のデータを見ると27週以上の失業者の人数は約415万人と1年前に比べ約300万人増加しています。短期失業者の職場復帰は期待されますが、長期失業者の問題への取り組みは今後の課題として残されています。米当局は景気をある程度過熱させてでも雇用市場の更なる回復を目論んでいるようですが、シナリオ通りにいくのか期待と不安をもって見守っています。

 

 

※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『米雇用統計、回復ペースの持続が重要』を参照)。

 

(2021年3月8日)

 

梅澤 利文

ピクテ投信投資顧問株式会社

運用・商品本部投資戦略部 ストラテジスト

 

 

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ピクテ投信投資顧問株式会社
運用・商品本部 投資戦略部 ストラテジスト 

日系証券会社のシステム開発部門を経て、外資系運用会社で債券運用、仕組債の組み入れと評価、オルタナティブ投資等を担当。運用経験通算15年超。ピクテでは、ストラテジストとして高度な分析と海外投資部門との連携による投資戦略情報に基づき、マクロ経済、金融市場を中心とした幅広い分野で情報提供を行っている。経済レポート「今日のヘッドライン」を執筆、日々配信中。CFA協会認定証券アナリスト、日本証券アナリスト協会検定会員(CMA)

著者紹介

ピクテは1805年、スイス、ジュネーブにおいて会社創設以来、一貫して資産運用サービスに従事し、運用サービスに特化したビシネスモデルを展開してまいりました。信用格付ではフィッチ・レーティングスからAA-の格付けを取得しております(2018年5月末現在)。注:上記の格付はピクテ・グループの銀行部門の債務の信用に対するもので、運用部門や運用能力に関するものではありません

1981年、日本経済や株式市場の調査を目的に東京事務所を設立しました。その後、1987年から機関投資家を対象とした資産運用サービス業務を開始、1997年には投資信託業務に参入し、運用資産総額は1.98兆円となっています(2018年12月末現在)。外資系運用機関の大手の一角として、特色ある資産運用サービスをお届けしております。

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