想定以上にタカ派なFOMCながら市場は無事通過 (※写真はイメージです/PIXTA)

今回のFOMCでテーパリングの終了時期を前倒ししたことなど発表された内容は概ね事前の市場予想通りです。ただ、将来のバランスシート縮小の議論があったことへの言及など想定以上にタカ派(金融引締めを選好)な面も見られます。しかしながら市場では株式市場が上昇するなど、FOMCを無事に通過した安心感からポジティブな反応となっています。※本連載は、ピクテ投信投資顧問株式会社が提供するマーケット情報・ヘッドラインを転載したものです。

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12月FOMC:テーパリング終了時期を前倒しにするなどインフレ対応を明確化

米連邦準備制度理事会(FRB)は2021年12月14~15日に米連邦公開市場委員会(FOMC)を開催し、量的緩和縮小(テーパリング)の加速などを決めました。

 

テーパリングの終了時期の想定を従来の来年6月から3月に前倒ししました。また、FOMC参加者らの政策金利見通しを反映するとされるドット・チャートでは、22年において3回の利上げが想定されており、9月時点の1回(中位数)の想定に比べ引締め姿勢となりました(図表1参照)。

 

四半期、予想時点:2021年9月~2021年12月、22年末と23年末時点 出所:FRB、ブルームバーグのデータを使用してピクテ投信投資顧問作成
[図表1]FOMC21年12月における政策金利年末時点予想 四半期、予想時点:2021年9月~2021年12月、22年末と23年末時点
出所:FRB、ブルームバーグのデータを使用してピクテ投信投資顧問作成

どこに注目すべきか:FOMC、一時的、ガイダンス、テーパリング

今回のFOMCでテーパリングの終了時期を前倒ししたことなど発表された内容は概ね事前の市場予想通りです。ただ、将来のバランスシート縮小の議論があったことへの言及など想定以上にタカ派(金融引締めを選好)な面も見られます。しかしながら市場では株式市場が上昇するなど、FOMCを無事に通過した安心感からポジティブな反応となっています。

 

まず、声明文やFRBのパウエル議長の発言内容などから今回のポイントを振り返ります。

 

雇用市場について声明文では失業率が大幅に低下したことなどを指摘するなど、前回(11月FOMC)に比べ、雇用市場の改善に対する認識が示されています。

 

インフレについては、11月末の議会証言で「一時的」を撤廃することは予告した通りです。したがって、高水準のインフレは一時的な要因を反映したと言う前回の表現から、今回は需給の不均衡が高水準のインフレに寄与したと改め、供給問題のインフレへの寄与を明確にした格好です。

 

なお、インフレについてのガイダンスで、「インフレが長期の2%目標を下回る状況を踏まえ、インフレが一定期間2%を適度に上回ることを目指し、それによって期間平均が2%となり、より長期のインフレ期待が2%でしっかりととどまるようにする」との従来の表現は、「インフレが2%をしばらくの間上回った中、委員会が判断する最大雇用と整合的な水準に労働市場環境が達するまでこの目標レンジを維持することが適切」に変更されています。昨年、インフレが長期的に平均で2%になるよう金融政策を運営するとして導入したインフレのガイダンスは、現状の高水準のインフレでは適切ではなく、インフレに対応する姿勢を示したと言えそうです。

 

FOMC参加者による四半期毎の経済予想では来年のインフレ率予想が2.7%と前回から0.4%も上方修整されました。わずか3ヵ月あまりで参加者の平均が0.4%も上方修正された点で、インフレが想定よりも高水準で推移することが示唆されています。また、失業率は22年には3.5%にまで低下すると見込んでおり、最大雇用の目安となる長期失業率(4%)を下回ることが予想されています。

 

来年3回の利上げ予想、インフレへの警戒などタカ派の材料を取り揃えた今回のFOMCですが、パウエル議長の報道関係者に対する会見を受け株式市場はそれを冷静に判断し、無事FOMCを通過しました。なお、パウエル議長は強いインフレ懸念を示す一方で、テーパリング終了後に利上げをするというプロセスは維持するなど拙速な利上げは否定し、市場への配慮を残している面も見られました。

 

パウエル議長は今回、バランスシート縮小の議論があったと認めましたが、今後はこの点にも注目が集まると見られます。

 

四半期、予想時点:2021年9月~2021年12月、成長率はGDP(国内総生産)成長率、インフレ率はPCE(個人消費支出)コア価格指数 出所:FRB、ブルームバーグのデータを使用してピクテ投信投資顧問作成
[図表2]FOMC参加者の経済見通しの主な項目 四半期、予想時点:2021年9月~2021年12月、成長率はGDP(国内総生産)成長率、インフレ率はPCE(個人消費支出)コア価格指数
出所:FRB、ブルームバーグのデータを使用してピクテ投信投資顧問作成

 

 

※将来の市場環境の変動等により、当資料記載の内容が変更される場合があります。

※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『想定以上にタカ派なFOMCながら市場は無事通過』を参照)。

 

(2021年12月16日)

 

梅澤 利文

ピクテ投信投資顧問株式会社

運用・商品本部投資戦略部 ストラテジスト

 

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運用・商品本部 投資戦略部 ストラテジスト 

日系証券会社のシステム開発部門を経て、外資系運用会社で債券運用、仕組債の組み入れと評価、オルタナティブ投資等を担当。運用経験通算15年超。ピクテでは、ストラテジストとして高度な分析と海外投資部門との連携による投資戦略情報に基づき、マクロ経済、金融市場を中心とした幅広い分野で情報提供を行っている。経済レポート「今日のヘッドライン」を執筆、日々配信中。CFA協会認定証券アナリスト、日本証券アナリスト協会検定会員(CMA)

著者紹介

ピクテは1805年、スイス、ジュネーブにおいて会社創設以来、一貫して資産運用サービスに従事し、運用サービスに特化したビシネスモデルを展開してまいりました。信用格付ではフィッチ・レーティングスからAA-の格付けを取得しております(2018年5月末現在)。注:上記の格付はピクテ・グループの銀行部門の債務の信用に対するもので、運用部門や運用能力に関するものではありません

1981年、日本経済や株式市場の調査を目的に東京事務所を設立しました。その後、1987年から機関投資家を対象とした資産運用サービス業務を開始、1997年には投資信託業務に参入し、運用資産総額は1.98兆円となっています(2018年12月末現在)。外資系運用機関の大手の一角として、特色ある資産運用サービスをお届けしております。

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