(※写真はイメージです/PIXTA)

中国の21年後半の経済成長率が減速した背景は、不動産をはじめとした各規制の強化、電力不足による生産の停滞、新型コロナウイルスの感染抑制政策などがあげられます。翌年の経済運営方針を決める中央経済工作会議の内容から、一定の緩和政策が見込まれます。しかし不動産規制などが残るなか、来年の中国の成長率は5%程度が見込まれます。※本連載は、ピクテ投信投資顧問株式会社が提供するマーケット情報・ヘッドラインを転載したものです。

インデックスファンドより高いリターンを狙う!
「アクティブファンド特集」を見る

中国中央経済工作会議:22年の経済運営における最優先課題は安定の確保

中国共産党は習近平総書記(国家主席)をはじめ中央政治局常務委員が参加する中央経済工作会議を2021年12月8日から10日の3日間にわたり開催しました。

 

同会議は中国共産党が年に1度、翌年の経済運営の基本方針を決めるために開く経済分野の重要会議です。中国国営新華社など各種報道によると、中国指導部は同会議の閉会に際して22年の経済運営では、安定の確保が最優先課題だと表明しています(図表1参照)。

 

出所:各種報道等を参考にピクテ投信投資顧問作成
[図表1]中国:中央経済工作会議の22年の主なポイント 出所:各種報道等を参考にピクテ投信投資顧問作成

どこに注目すべきか:中国、中央経済工作会議、規制強化、コロナ

中国の21年後半の経済成長率が減速した背景は、不動産をはじめとした各規制の強化、電力不足による生産の停滞、新型コロナウイルスの感染抑制政策などがあげられます。翌年の経済運営方針を決める中央経済工作会議の内容から、一定の緩和政策が見込まれます。しかし不動産規制などが残るなか、来年の中国の成長率は5%程度が見込まれます。

 

中央経済工作会議をベースに、中国の今後の政策を占います。まず、金融政策については10日の同会議終了を待つことなく、既に金融緩和政策が発表されています。例えば12月6日に預金金利準備率を0.5%引き下げると発表(実施は15日)しています。

 

また、12月9日には現在7%の外貨預金準備率を15日から9%にすることを発表しました。外貨売り・人民元買いの元となりうる外貨を吸収することで、最近の人民元高傾向に対応したと見られます(図表2参照)。

 

日次、期間:2020年12月14日~2021年12月13日 出所:ブルームバーグを使用してピクテ投信投資顧問作成
[図表2]中国人民元(対ドル)の推移 日次、期間:2020年12月14日~2021年12月13日
出所:ブルームバーグを使用してピクテ投信投資顧問作成

 

声明では流動性管理が理由となっていますが。人民銀は9日に人民元の中心レートを元安方向に設定していることから、これ以上の人民元高には懸念を示したと見られます。なお、人民銀は5月末にも外貨預金準備率を2%引き上げています。来年にかけ金融政策による緩やかな景気下支えが想定されます。

 

気候変動については石炭使用を急速に減らすとした昨年の方針から変化が見られます。中国の電力不足、生産停滞は急激な石炭使用の見直しが背景です。これは20年12月に習近平氏が世界気候サミットに参加し、2030年までに二酸化炭素排出をピークアウトさせるとことなどを宣言したことにより拙速な石炭回避となり、21年の電力不足の原因になったと見られます。今回、22年については石炭と代替エネルギーの適切な組合せとする方針に改められました。

 

一方、不動産規制については昨年の中央経済工作会議と同じく、住宅は住むためのもので投機の対象で無いことが繰り返されています。ただ、今年中国の不動産業界で債務不履行が懸念される中での方針の維持は、当局の不動産規制への厳しい姿勢をうかがわせます。若干の緩和は見込んでいますが、基本、不動産規制を維持するものと見ています。

 

中国のゼロコロナ政策は22年も同様の対応となる模様です。コロナ政策について昨年の中央経済工作会議で、外国からの侵入を防ぎ、国内では再感染を防止すると述べられていましたが、今年も同様の方針が引き継がれているからです。経済を厳しく制限するゼロコロナ政策の継続が見込まれます。

 

中国は安定の確保を最優先とした経済運営を目指すこと、若干の景気下支え、規制強化の原則維持を踏まえると、22年の経済成長は5%程度に留まると見込んでいます。

 

 

※将来の市場環境の変動等により、当資料記載の内容が変更される場合があります。

※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『中央経済工作会議で中国の来年を占う』を参照)。

 

(2021年12月14日)

 

梅澤 利文

ピクテ投信投資顧問株式会社

運用・商品本部投資戦略部 ストラテジスト

 

日本経済の行方、米国株式市場、新NISA、オルタナティブ投資…
圧倒的知識で各専門家が解説!カメハメハ倶楽部の資産運用セミナー

 

カメハメハ倶楽部セミナー・イベント

 

【12/10開催】
相続税の「税務調査」の実態と対処方法
―税務調査を録音することはできるか?

 

【12/10開催】
不動産「売買」と何が決定的に違うのか?
相続・事業承継対策の新常識「不動産M&A」とは

 

【12/11開催】
家賃収入はどうなる?節目を迎える不動産投資
“金利上昇局面”におけるアパートローンに
ついて元メガバンカー×不動産鑑定士が徹底検討

 

【12/12開催】
<富裕層のファミリーガバナンス>
相続対策としての財産管理と遺言書作成

 

【12/17開催】
中国経済×米中対立×台湾有事は何処へ
―「投資先としての中国」を改めて考える

 

 

【ご注意】
●当レポートはピクテ投信投資顧問株式会社が作成したものであり、特定の商品の勧誘や売買の推奨等を目的としたものではなく、また特定の銘柄および市場の推奨やその価格動向を示唆するものでもありません。
●運用による損益は、すべて投資者の皆さまに帰属します。当レポートに基づいて取られた投資行動の結果については、ピクテ投信投資顧問株式会社、幻冬舎グループは責任を負いません。
●当レポートに記載された過去の実績は、将来の成果等を示唆あるいは保証するものではありません。
●当レポートは信頼できると考えられる情報に基づき作成されていますが、その正確性、完全性、使用目的への適合性を保証するものではありません。
●当レポート中に示された情報等は、作成日現在のものであり、事前の連絡なしに変更されることがあります。
●投資信託は預金等ではなく元本および利回りの保証はありません。
●投資信託は、預金や保険契約と異なり、預金保険機構・保険契約者保護機構の対象ではありません。
●登録金融機関でご購入いただいた投資信託は、投資家保護基金の対象とはなりません。
●当レポートに掲載されているいかなる情報も、法務、会計、税務、経営、投資その他に係る助言を構成するものではありません。

人気記事ランキング

  • デイリー
  • 週間
  • 月間

メルマガ会員登録者の
ご案内

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

メルマガ登録