ある日突然、老親が緊急搬送で入院という事態が起こります。介護は毎日のことなので、使命感だけでは長続きはしません。10年以上、仕事をしながら父母の遠距離介護を続けてきた在宅介護のエキスパートは、「介護する人が幸せでなければ、介護される人も幸せにはならない」と訴えます。入院や介護に備え、知っておきたい制度やお金の話から、役立つ情報、具体的なケア方法までを明らかにします。本連載は渋澤和世著『親が倒れたら、まず読む本 入院・介護・認知症…』(プレジデント社)から抜粋し、再編集したものです。

介護サービスは全て1割負担で良いのか?

介護サービスを利用するとかかる自己負担割合はどのくらい?

 

要介護認定で要支援1~要介護5(7段階)までのいずれかに認定された人は、その認定区分に応じて、1か月あたりの保険給付の上限額(区分支給限度基準額)が決められています。この範囲内でサービスを利用した場合の利用者負担の割合は、1割、2割、3割のいずれか所得によって決まりますが、保険給付の上限額を超えてサービスを利用すると、超えた分は全額(10割)が利用者負担になります。

 

要介護認定を受けた人には、自治体から「介護保険負担割合証」が送られてきます。負担割合と期間が記載されていますので確認してください。介護保険サービスを利用する際は、被保険者証と負担割合証の2枚が必要となるので、大切に保管してください。

 

居宅介護の区分支給限度基準額はいくらまで?

 

認定区分に応じて、1か月あたりの支給限度額が単位数で決められています。地域とサービス内容によって、1単位の単価が10~11.4円の範囲内で設定されています。高く設定されているのは、東京都23区、次いで東京都の各市、神奈川県の川崎市、横浜市、大阪府大阪市などです。県単位ではなく細かく市を指定して分けているのが特徴です。

 

例えば要介護5の場合、36065単位なので東京都23区で在宅サービスを利用した場合、41万1141円までとなります。これらは居宅介護(予防サービス、介護サービス)に適用され、特定福祉用具販売と住宅改修はこの範囲には含みません。

 

 

 

施設サービスや地域密着型サービスを利用した場合の自己負担

 

特別養護老人ホーム(特養)、介護老人保健施設(老健)、介護療養型医療施設(令和5年度末廃止)、介護医療院など介護保険4施設に入居した場合の利用者負担は、「施設サービス費(サービス費の1~3割)+食費・居住費・理美容代・日用品費等(保険対象外)」となります。

 

※オムツ代は介護保険給付費に含まれるため実費負担なし

 

施設サービス費については、施設の種類、部屋の種類、要介護度に応じて利用者負担額が異なります。地域密着型サービスもそれぞれに非常に細かく設定されているので、市区町村の介護保険課などで確認をしてください。ウェブサイトや冊子を発行して案内している場合もあります。

 

 

 

全額利用者負担になるケースとは

 

自費によるサービス利用は2通りあります。先に述べた介護保険の限度額を超えてサービスを利用する場合と介護保険の対象ではないサービスを利用する場合です。大掃除や庭木の手入れ、コンサートなど趣味での外出介助は介護保険サービス対象外なので、訪問介護事業所の他、民間事業者、ボランティアについても検討してみましょう。事業者により料金も異なります。

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