家族が疲弊していても…「介護保険を使わない」高齢者のナゼ

ある日突然、老親が緊急搬送で入院という事態が起こります。介護は毎日のことなので、使命感だけでは長続きはしません。10年以上、仕事をしながら父母の遠距離介護を続けてきた在宅介護のエキスパートは、「介護する人が幸せでなければ、介護される人も幸せにはならない」と訴えます。入院や介護に備え、知っておきたい制度やお金の話から、役立つ情報、具体的なケア方法までを明らかにします。本連載は渋澤和世著『親が倒れたら、まず読む本 入院・介護・認知症…』(プレジデント社)から抜粋し、再編集したものです。

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自宅で暮らすことをサポートする地域密着型サービス

介護給付と予防給付がある

 

介護保険サービスは、要介護認定で要介護1〜5と認定された人が利用できるサービス(介護給付)と、要支援1〜2と認定された人が利用できるサービス(予防給付)があります。予防給付とは介護予防のための軽度者向けのサービスになります。すべてのサービスをまとめると大まかには次のようになります。

 

①自宅で受けられるサービス
②施設などに通って日帰りで受けるサービス
③施設などで生活(宿泊)しながら長期間、または短期間受けるサービス
④訪問・通い・宿泊を組み合わせて受けるサービス
⑤福祉用具・住宅改修などその他のサービス

 

介護サービスを受ける際に注意すること

 

今後、数年間は、高齢者が増加することは明らかな事実ですが、数十年単位で考えると必ず減少の時期が訪れます。今必要だからと、高齢者施設を数多く建てるのは得策ではありません。実際、可能であれば自宅で住み続けたいと希望する高齢者が最も多いことから、訪問や宿泊をうまく活用しながら自宅で暮らすことをサポートする地域密着型サービスの必要性が高まっています。

 

このサービスは住みなれた地域というのもポイントで、事業所がある市区町村に住民票がある人が対象です。ですが、地域によっては介護職員の不足や立地の問題で地域密着型サービスそのものを提供している事業所がないところもあります。親が求めているサービスが、その地域にあるのかも確認することが大切です。地域密着型サービス以外のサービスは他の市区町村にある事業所の利用も可能なので、併せて検討してみてください。

 

 

 

介護保険適用の公的施設への入居は要介護認定が必要

施設の中でも介護保険の恩恵を受けられるのは特別養護老人ホーム(特養)、介護老人保健施設(老健)、介護療養型医療施設(令和5年度末廃止)、介護医療院の4施設です。これらは要支援認定では利用することができず、要介護1以上が対象で、特別養護老人ホームに関しては要介護3以上の方が対象です。より介護度が高い人が優先なのです。

 

 
 

 

親が生活しやすい環境にするためのサービス

 

必要なものをレンタルする福祉用具貸与、レンタルにふさわしくない商品を購入する際の補助である特定福祉用具販売のほか、住宅改修費の給付があります。手すりとスロープは取り付け工事が必要ないものはレンタル、必要であれば住宅改修になります。車いすは、家の中と外出用と、身体の状態や部屋の環境により2台あると良いケースもあります。

 

これらを希望するときは、担当のケアマネージャーに相談してください。私は母の徘徊がひどかったとき、鍵付きの門の設置が住宅改修でできないか、まずは市役所に念のため問い合わせてみました。結果的にはNGでしたが、それがわかっただけでもすっきりするものです。

 

 
 

 

ここが疑問 グループホームは施設ではないのか?

 

介護保険制度で利用できる公的施設サービスは前述のように4施設。特別養護老人ホーム(特養)、介護老人保健施設(老健)、介護療養型医療施設(令和5年度末廃止)、介護医療院です。これらは、お世話代がオムツも含めて全面的に介護保険が適用されます。

 

居住費や食費、日用品代などが実費で上乗せされます。永住の理解で(しなくても良い)地域包括支援センターに個人の記録があったとしても入居した時点で片付けられるのです。これらの施設は人員も部屋の大きさも既定条件があり、それさえクリアしていれば良いので、基本的には豪華というイメージからはかけ離れています。

 

グループホームはその建物に入居してそこでの生活が続きます。家族からすると自宅から出るので、施設に入るという感覚です。それは間違っていないのですが、地域密着型サービスは、あくまでも介護保険上、泊まっているけど住んでいないという考え方です。家賃や食事代、オムツ代などは基本自費(だから独自性が出る)プラス介護のお世話代は介護度によって一律決まった金額が上乗せされます。

 

地域包括支援センターの対応は在宅の人が対象です。施設サービスに入居したら台帳は片付けるけど、地域密着のグループホームや有料老人ホームに入居した人のものは保管してあります。泊まっているけど住んでいないと考えているからなのです。

「在宅介護エキスパート協会」代表

1964 年、静岡市生まれ、川崎市育ち。NEC 関連会社(現職)でフルタイム勤務の中、10 年以上に渡り遠距離・在宅介護を担う。両親の介護をきっかけに社会福祉士、宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナーなど福祉に直接的・間接的に関係する資格を取得。その経験や知識を多くの方に役立てていただけるよう「在宅介護エキスパート協会」を設立、代表を務める。
2人の子どもに恵まれるも、両親が同時期に脳血管障害、認知症、骨折、肺炎で入退院を繰り返す。長年にわたり仕事、子育て、介護(遠距離介護4年・在宅介護8年)の「トリプルワーク」を経験。仕事をしながらの育児、介護にストレスが極限にまで達し、介護疲れを起こす。書籍や情報サイトなどを頼るも、「介護の常識」は、仕事や育児との両立をしている人にとっては、全てこなすことなど到底できない理想論であることを痛感する。その後、「自分でもできる介護」を自力で確立することを決意。アイデア発想講師としての知識を生かし、それまでの「完璧な介護」から「自滅せず親も家族も幸せになる介護」へと発想の視点を変え、現代人のための介護思考法を独自に研究する。

著者紹介

連載親の入院、介護ですぐやること、考えること、お金のこと

親が倒れたら、まず読む本 入院・介護・認知症…

親が倒れたら、まず読む本 入院・介護・認知症…

渋澤 和世

プレジデント社

高齢化が進む日本では現在、介護ストレスによる介護疲れが大きな問題だ。そこで本書では、仕事や育児との両立を前提に、「完璧な介護」ではなく「頑張りすぎない介護」を提案する。 正社員としてフルタイムで働きながら、10年…

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