とくに親密にしていた姪に「あなたが養女になってくれれば…」といいながら亡くなった資産家の叔母。残念ながら養子縁組は実現せず、遺言書も残せませんでした。そんな叔母の相続人はなんと16名。申告期限までにこの人数をまとめ、相続手続きを完了させることはできるのでしょうか。相続実務士である曽根惠子氏(株式会社夢相続代表取締役)が、実際に寄せられた相談内容をもとに解説します。

資産状況を明確化して共有、分割プランも複数用意し…

遺産分割協議を進めるためには、まずは資産状況を明らかにし、相続人へ提示する書類を作らなければなりません。筆者は真理子さんと足並みをそろえ、全財産のリストとその評価、遺産分割の提案書を作成しました。次に、相続税の試算と納税方法、さらには残った財産をどう分割するかのプランも作成。万全の態勢を整えたうえで話し合いを行った結果、数回の協議を経て、相続人全員を納得させることができました。

 

 

財産が預金だけなら公平に分けることは簡単ですが、仁美さんの財産の多くは不動産であるため、全ての相続人に公平な分割をすることは不可能です。

 

仁美さんが暮らしていた自宅、貸し駐車場、低層マンション1棟、貸店舗は、それぞれを複数に分筆し、現金は不動産の不公平を補う形で分配することで話がまとまりました。

 

真理子さんは、今回の相続手続きの音頭を取ったことで、多く現金を受け取ることになり、本人もそれで納得しました。相続税の納税も真理子さんが取りまとめ、期限ぎりぎりではありましたが、無事に納付することができたのです。

 

(※写真はイメージです/PIXTA)
(※写真はイメージです/PIXTA)

遺言書さえあれば、揉める要素はなにもなかった

激しい諍いが起こるケースばかりでなく、逆に、ほかの相続人に遠慮して先頭に立つ人が現れず、遺産分割行儀が進まないケースもあります。いずれにしろ、スムーズな協議のためには、だれかが主導権を握る必要があるといえます。

 

 

また今回の山田家の事例のように、親の代の相続にまで不満が広がると、話し合いは先に進みません。すんでしまったことを蒸し返したところでなにもメリットはありませんから、過去は過去として、現状の材料で話し合いを進めることが大切です。

 

つくづく悔やまれるのは、仁美さんが遺言書を作成しなかったことです。きょうだいには遺留分がありませんから、遺言書を活用すれば、親族間でもめることもなく、仁美さんの思い通りの相続が実現できたはずです。

 

遺産を残す側も、受け取る側も、遺言書の重要性をしっかり認識していただくことが、資産防衛はもちろん、親族間のトラブル予防にも有効なのです。

 

※登場人物は仮名です。プライバシーに配慮し、実際の相談内容と変えている部分があります。

 

曽根 惠子

株式会社夢相続代表取締役

公認不動産コンサルティングマスター

相続対策専門士

 

◆相続対策専門士とは?◆

公益財団法人 不動産流通推進センター(旧 不動産流通近代化センター、retpc.jp) 認定資格。国土交通大臣の登録を受け、不動産コンサルティングを円滑に行うために必要な知識及び技能に関する試験に合格し、宅建取引士・不動産鑑定士・一級建築士の資格を有する者が「公認 不動産コンサルティングマスター」と認定され、そのなかから相続に関する専門コースを修了したものが「相続対策専門士」として認定されます。相続対策専門士は、顧客のニーズを把握し、ワンストップで解決に導くための提案を行います。なお、資格は1年ごとの更新制で、業務を通じて更新要件を満たす必要があります。

 

「相続対策専門士」は問題解決の窓口となり、弁護士、税理士の業務につなげていく役割であり、業法に抵触する職務を担当することはありません。

 

 

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本記事は、株式会社夢相続が運営80代するサイトに掲載された相談事例を転載・再編集したものです。

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