年収1600万円なら「年間300万円以上」の所得税額
日本では収入額に応じて税金が加算されます。そのため、収入が高ければ高いほど納税額がアップしてしまいます。たとえば年収1600万円の医師が給与所得控除額や配偶者控除程度の税控除しか受けずに確定申告した場合、所得税額は300万円以上になり、年収の1/5以上が税金で消えることになります。
加えて、多くの医療機関を掛け持ちする勤務医や開業医は退職金に期待ができないため、現役のうちに老後資産を蓄えておかなければなりません。今ある潤沢な資産を守り増やすため、医師は今すぐ資産運用に取り組むべきです。
資産運用の方法は様々…どれが「医師向き」?
資産運用にはいろいろな手段があります。代表的なものの一つが「株式投資」です。株の値上がり益と配当金で儲けられるほか、多彩な株主優待も魅力です。しかし突発的な値下がりリスクも付いて回ります。
外国為替の差益や金利差調整分で稼ぐ「FX投資」という資産運用法もあります。24時間取引が可能ですが、その反面、業務中や睡眠中などレートを確認できない時間帯に大きな損益が発生するリスクがあります。
FXと同様に為替差益で稼げる「外貨預金」という手段もありますが、口座引出の際に為替手数料がかかることや、一般の預金とは違い元本保証されず、預金保険制度の対象外なのがマイナスポイントです。
では「投資信託」はどうでしょう。少ない資金ではじめられ、運用はファンドマネージャーに任せられるので初心者でも安心の資産運用法といわれます。しかし、プロに任せる分手数料が高いことと、所得税・地方税の課税対象なのがデメリットです。不動産投資を株式化した「REIT」も少額から投資可能です。こちらも投資信託と同様、ファンドマネージャーに一切を任せられますが、相場の変動が激しいため収益が不安定になる側面もあります。
初心者がいきなり株式投資で利益を上げるのは難しいことです。FX投資や外貨預金についてもネットで四六時中レートチェックをしなければならないため、医師のような業務多忙な人には向いていません。投資信託やREITは運用のプロに任せられるので手間がかかりませんが、その分高い手数料が差し引かれるため思うほど利益が上がりません。
それでは「不動産投資」はどうでしょうか。不動産を購入すると、まずは仲介手数料や登記費用、不動産取得税などの税控除が受けられます。加えて金融機関から融資を受けて購入した場合は、ローン金利も税控除の対象になります。
一番の旨味は賃貸経営による家賃収入です。毎月の家賃収入からローン返済ほか必要経費を差し引いてもキャッシュフローが残る仕組みを確立できれば、あとは自動的に資産が形成されていきます。
面倒ごとはプロに委託…片手間で第二の収入を確保
賃貸物件の管理とはどんなものでしょうか。空室の物件を購入した場合は入居者募集を行い、申込みが入ったら賃貸借契約、入居後はさまざまなトラブルやクレームへの対応、家賃の滞納があったら督促もしなければなりません。
退去時には原状回復工事や清掃、そして再び入居者募集と、管理業務のループは延々と続きます。これを医師という多忙な仕事をしながら並行して行うのには限界があります。
そこで、これら煩雑な業務を代行してくれる不動産管理会社への委託が必要になるのです。一般的な管理委託料は家賃の5〜7%程度で、ワンルームであれば月額6000円前後です。この程度の支出で管理業務から解放されるなら必要経費と割り切ったほうが合理的ではないでしょうか。
不動産管理会社は不動産のプロです。管理業務だけでなく、投資用不動産に関するさまざまな情報やネットワークを持っています。
また、オーナーだけでは見極めが難しい物件について客観的にアドバイスしてくれます。次の2戸目、3戸目と再投資を考えるならば、不動産管理会社とのつながりは大変重要です。優秀な不動産管理会社を選び、信頼関係を構築し、彼らが持つスキルを大いに活用しましょう。
<まとめ>
高収入の医師はできるだけ早く資産形成に取り組む必要があります。資産運用法は多々ありますが、本業が多忙であっても兼業が可能な方法を選ぶべきです。
不動産投資は、株式投資やFX投資などと比較して相場動向が緩やかなので、一晩で大損失を被るようなリスクはありません。加えて購入時の初期費用から賃貸経営中の諸経費にいたるまで手厚い税控除があります。
空室リスクについては優秀な管理会社とタッグを組めば回避可能です。年々変化する入居者のニーズを知り、賃貸物件の魅力、そして資産価値を高めていくことも不動産投資の醍醐味です。
大山 一也