相続における「遺言書の重要性」を理解している人は、決して多くありません。親は自分の死後、まさか子どもたちが熾烈な相続争いを繰り広げるなど、想像してもいないのでしょう。しかし、遺言書がなければ、そのリスクは一気に跳ね上がります。相続問題の解決に定評がある、弁護士法人菰田総合法律事務所の國丸知宏弁護士が、事例をもとに解説します。

形式や内容に不備があると、せっかくの遺言書も無駄に

ただし、遺言書には注意点があります。もし作成しても、法律が定める形式的な要件を満たしていなかったり、曖昧な内容になっていたりすると、無効になってしまうことがあるのです。また、上記のAさんの場合も、Aさんに全財産を相続させるような内容の遺言書になっていると、兄はAさんに対して「遺留分」(最低限相続することができる割合のこと)を主張する可能性があるため、紛争の種が残ってしまいます。

 

さらに、「遺言執行者」という「遺言の内容を実現する人物」を遺言書で指定しておかないと、金融機関によっては、解約に際して相続人全員の印鑑証明書を要求することもあります。そのため、遺言書の作成に当たっては、書式や記述する内容をしっかり考えなければなりません。

 

相続について懸念をもつ方の多くは、実際のところ、「遺言書を作る前段階」で行動が止まっているのではないでしょうか。作成したほうがいいと頭ではわかっていても「いつでも作れるから…」と、あと回しにしてしまいがちです。

 

相続における遺言書の重要性は極めて高く、遺言書は相続人の将来と心を守る、大切な手段なのです。本稿の事例を遺言書作成のきっかけにしていただけると幸いです。

 

 

國丸 知宏

弁護士法人菰田総合法律事務所

弁護士

 

 

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