遺産分割の話し合いは、想像を超える大変さ
超高齢化社会・多死社会となった日本では、日々多くの遺産相続が発生しています。また、文化の成熟に伴い人々の価値観も多様化し、生涯独身を通す人、離婚・再婚を経験する人、結婚という枠に縛られずにパートナーや婚外子をもつ人など、従来には少なかった生き方、家族の持ち方をする人も増えています。
相続発生時、高齢の親を中年になった子どもたちが見送る、というケースばかりではありません。親の離婚・再婚等の影響で、会ったこともないきょうだい(相続人)の存在が発覚するケース、養子縁組しているケース、相続人の立場の人がすでになく、代襲相続人が複数人存在するケースなども珍しくありません。
事情はどうであれ、相続人の人数が多ければ多いほど、相続の話し合いが大変になることは確実です。ならば、話し合う人数を整理する方法はないのでしょうか?
じつは、相続手続きの裏ワザとして「相続分の譲渡」の活用により、遺産相続の話し合いに参加する人数を減らす方法があります。各人の相続の状況にマッチしていることが大切ですが、うまく使えれば、比較的短時間で問題解決することも可能です。
下記、具体例を見ていきましょう。
「子のない叔母の相続人」は、どこまで?
Q 子のないおばが死亡。相続人となるのはだれ?
Aさんは実母の死後、かわいがってくれたおば(母の妹)を自宅に引き取り、最後までお世話をしました。しかし残念ながら、おばは亡くなりました。そのため、おばの遺産の整理をしたいと考えています。おばに子どもはおらず、おばの両親(Aさんの祖父母)もすでに他界しています。実母とおばにはほかにも数人のきょうだい(Aさんのおじおば)がいますが、そのきょうだいたちもすでに亡くなっており、それぞれ数人ずつ子ども(Aさんのいとこ)がいます。おばの残した財産について、だれと、どこまで話しうべきでしょうか。
A おばのきょうだい全員が相続人
上記の例の場合、まず、亡くなったおばのきょうだい全員が相続人となります。
相談者のAさんは長女の子で(下記図表参照)、今回亡くなったおばは次女です。Aさんは、おばの生前、子どものいないおばと同居し、亡くなるまでの数年間、介護を続けてきました。今回、おばが亡くなって5ヵ月がたったので、そろそろ遺産の整理をしようと考えました。そこで、だれと話し合ったらいいのかを考えています。
上述したように、おばに子どもはおらず、両親もすでに他界しているため、相続人はおばのきょうだいです。しかし、きょうだい(長女、長男、次男、三女)もすでに全員亡くなっているため、さらにその子(甥・姪)であるA~Hの、合計8人が相続人になります。
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