多くの人が頭を悩ませる相続の問題。被相続人の年齢が高いケースや、家族構成が複雑なケースでは、相続人の数はどうしても多くなる傾向があります。相続人が多ければ遺産分割協議の難易度は上がり、着地に時間がかかるケースも珍しくありません。ここでは、協議のテーブルに着く人数を減らし、話し合いをシンプルにできる「相続分の譲渡」という制度を紹介します。相続問題の解決に定評がある、弁護士法人菰田総合法律事務所の國丸知宏弁護士が解説します。

遺産分割の話し合いは、想像を超える大変さ

超高齢化社会・多死社会となった日本では、日々多くの遺産相続が発生しています。また、文化の成熟に伴い人々の価値観も多様化し、生涯独身を通す人、離婚・再婚を経験する人、結婚という枠に縛られずにパートナーや婚外子をもつ人など、従来には少なかった生き方、家族の持ち方をする人も増えています。

 

相続発生時、高齢の親を中年になった子どもたちが見送る、というケースばかりではありません。親の離婚・再婚等の影響で、会ったこともないきょうだい(相続人)の存在が発覚するケース、養子縁組しているケース、相続人の立場の人がすでになく、代襲相続人が複数人存在するケースなども珍しくありません。

 

事情はどうであれ、相続人の人数が多ければ多いほど、相続の話し合いが大変になることは確実です。ならば、話し合う人数を整理する方法はないのでしょうか?

 

じつは、相続手続きの裏ワザとして「相続分の譲渡」の活用により、遺産相続の話し合いに参加する人数を減らす方法があります。各人の相続の状況にマッチしていることが大切ですが、うまく使えれば、比較的短時間で問題解決することも可能です。

 

下記、具体例を見ていきましょう。

 

遺産協議、誰と話し合えばいい…?
(※写真はイメージです/PIXTA)

「子のない叔母の相続人」は、どこまで?

Q 子のないおばが死亡。相続人となるのはだれ?

 

Aさんは実母の死後、かわいがってくれたおば(母の妹)を自宅に引き取り、最後までお世話をしました。しかし残念ながら、おばは亡くなりました。そのため、おばの遺産の整理をしたいと考えています。おばに子どもはおらず、おばの両親(Aさんの祖父母)もすでに他界しています。実母とおばにはほかにも数人のきょうだい(Aさんのおじおば)がいますが、そのきょうだいたちもすでに亡くなっており、それぞれ数人ずつ子ども(Aさんのいとこ)がいます。おばの残した財産について、だれと、どこまで話しうべきでしょうか。

 

A おばのきょうだい全員が相続人 

 

上記の例の場合、まず、亡くなったおばのきょうだい全員が相続人となります。

 

相談者のAさんは長女の子で(下記図表参照)、今回亡くなったおばは次女です。Aさんは、おばの生前、子どものいないおばと同居し、亡くなるまでの数年間、介護を続けてきました。今回、おばが亡くなって5ヵ月がたったので、そろそろ遺産の整理をしようと考えました。そこで、だれと話し合ったらいいのかを考えています。

 

上述したように、おばに子どもはおらず、両親もすでに他界しているため、相続人はおばのきょうだいです。しかし、きょうだい(長女、長男、次男、三女)もすでに全員亡くなっているため、さらにその子(甥・姪)であるA~Hの、合計8人が相続人になります。

 

キャプション
[図表1]相続人関係図

 

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