死後に婚外子が発覚するのは、残された家族にとって非常にショッキングかもしれませんが、法律関係者の間ではさほど珍しくない話です。相続手続きの際には戸籍の洗い出しが必須のため、認知された子どもの存在は隠し通せないのです。また逆に、相続人の死を知った「認知していない子」から、死後認知の訴えを起こされることもあります。相続問題の解決に定評がある、弁護士法人菰田総合法律事務所の國丸知宏弁護士が事例をもとに解説します。

「会社はお前たちに…」死を前にした兄の願い

ある日、筆者が勤務する事務所にA子さんという女性が訪ねてきました。A子さんは4人きょうだいの末っ子で、つい最近、仲のよかった独身の長兄が亡くなったそうなのですが、ずっと以前に耳にした長兄の言葉が気にかかり、相談に乗ってほしいとのことでした。

 

A子:「亡くなった長兄はとても優秀なうえに面倒見がよく、頼りになる人でした。大学を卒業後にすぐ起業して会社を軌道に乗せ、経済的に余裕のなかった両親に代わり、私たちきょうだいの学費や生活費を援助してくれたんです」

 

筆者:「お兄さんには、とても助けていただいたんですね」

 

A子:「はい。兄の力を借りて全員無事に大学を卒業し、希望の仕事に就くことができました。兄のおかげで経済力を持てましたから、成人してからは、兄が大変なときに私たちが力を貸すこともできたんです。ここ数年は次兄も経営にかかわっていますし、きょうだいで支え合って、なんとかやって来た感じです」

 

筆者:「ごきょうだいの皆さんは、円満な関係なのですね」

 

A子:「ええ。なにより、みんなにとって自慢の兄でしたし…。兄も、病気が初期のころは強気でしたが、入院を繰り返すごとにすっかり弱ってしまって…。最後の入院のときには、『お前たちみんなに俺の会社を任せたい。大勢のお客さんもいるのだから、しっかり引き継いでほしい。頼んだぞ』と、私たちの手を取って懇願して…」

 

(※画像はイメージです/PIXTA)
(※画像はイメージです/PIXTA)

「実は若いころ…」記憶に埋もれていた兄の言葉

涙ぐみながら話していたA子さんでしたが、ふいに口を閉ざしたあと、いいにくそうな様子で言葉を続けました。

 

A子:「実はずっと以前、お酒に酔った兄が『若いころに付き合っていた人との間に子どもがいる。いろいろ問題があって、好きだったのに結婚できなかった』と話したのを思い出したんです。確認したら、ほかのきょうだいはなにも知らないし、聞いたこともないというので、事実かどうかもわからないのですが…」

 

筆者:「お子さん、ですか?」

 

A子:「はい。やっと四十九日も終わり、これから兄の会社や資産の引き継ぎについて話し合うところなんですが、兄の言葉がどうしても気がかりでして…」

 

ほかのきょうだいたちもA子さんの言葉に不安を覚え、しっかり調べてほしいと希望しているため、まずは筆者の事務所で調査することになりました。

 

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