
ダラスを本拠とする世界最大(2019年の収益に基づく)の事業用不動産サービス会社、シービーアールイー株式会社(CBRE)。同社によるレポート「コロナ禍のリテール動向とその未来は?−アフターコロナの出店戦略」より一部抜粋し、「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関する緊急アンケート」の結果から、コロナが銀座、表参道、原宿、新宿、渋谷、栄、心斎橋、天神エリアの主要な通りに出店している小売業者に与えた影響と、「今後も積極出店を続ける」と答えた小売業の理由を見ていきます。
日本の業績への影響:約95%の小売業者にマイナス影響

新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、日本の業績にマイナスの影響が出ているかを訊いたところ、95.1%のリテーラーが出ていると回答した〔図表1〕。
マイナスの影響が出ていないとした回答者(4.9%)には、マスクや消毒関連商品の購買ニーズがあったドラッグストアや、テイクアウトやデリバリーがしやすいファストフード、携帯電話サービスなどの業態が含まれる。
次に、日本の業績にマイナスの影響が出たと回答したリテーラーに対して、2020年3月と4月の売上高それぞれについて前年と比べての変化を訊いた〔図表2〕。
3月は、前年同月比で売り上げがマイナス「60〜70%未満」(19.8%)という回答が最も多く、マイナス「50〜60%未満」(16.7%)が続いた。4月はさらにマイナスの影響が大きく出ている。前年同月比で売り上げがマイナス「70〜80%未満」(18.8%)という回答が最も多く、マイナス「90%以上」(13.5%)が続いた。
休業要請などによって実店舗を閉鎖したことから、4月は売り上げがほとんど立たなかったリテーラーが一定数いたことを示唆している。
既存店舗の賃料減額の要請:約90%の幅広い業態が行う
売上減少などに伴い、既存店舗の賃料減額をオーナーに要請しているかを訊いた設問では、90.9%が要請していると回答。業態は、ラグジュアリー、スポーツ、ファッション、ドラッグストア、コンビニエンスストアと幅広い。
実店舗の固定費のなかで大きな割合を占める賃料を削減し、キャッシュ・フローの改善、ひいては経営の安定をリテーラーが模索していることがうかがえる〔図表3〕。
次に、賃料減額の要請をおこなっているリテーラーを対象に、減額幅とその期間を訊いた。1ヵ月の賃料に対して「20〜30%未満の減額を3ヵ月間」という回答が最も多く、「40〜50%未満の減額を3ヵ月間」が続いた。
3ヵ月間を減額期間の目安としていたリテーラーが多かったことがわかる。ただし、売り上げの回復にはさらに時間がかかると判断したリテーラーは、減額期間の延長を要請している。売り上げに対するインバウンド比率が高かったリテーラーのなかには、年内いっぱいの減額を要請したところもある〔図表4〕。