「公正証書遺言の無効確認」は非常に難しい
このケースにおいては、医療記録において、かなり詳細に遺言者の当時の状況が記録されていたこと、及び、妻の存命中にもかかわらず、夫が全財産を妹に相続させるという遺言内容の不合理性が、遺言無効の認定に大きく左右したものと思われます。
地裁判決では遺言は有効である、と判断されていたものの、東京高裁がこれを覆して無効と判断しています。認定されている事実は、地裁判決と高裁判決で大きく異なっているようではなく、事実の「評価」が地裁と高裁では真逆になったといえます。
公正証書遺言の無効確認というものが、当事者にとっても裁判官にとっても、その判断において非常に困難を伴うものであるということ示した一例です。
※本記事は、北村亮典氏監修のHP「相続・離婚法律相談」掲載の記事・コラムを転載し、再作成したものです。
北村 亮典
こすぎ法律事務所弁護士
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