相続発生時、遺言や遺書の有効性についてトラブルが発生するケースが多発しています。知識を身につけ、もしもの時に備えましょう。今回は事例から、親が支払った学費の差額は相続に影響するのか、見ていきましょう。

兄の大学進学費・生活費は「特別受益」に当たるのか?

Q.父が亡くなりました。相続人は長男の兄と私(長女)の2人です。遺産分割で揉めていて、現在審判となっています。

 

私は、大学に進学せず、学校卒業後にすぐに就職して、家に生活費を入れていましたが、兄は大学に進学し、学費から生活費まですべて両親から援助を受けていました。その金額はかなりの金額に及ぶと思いますので、これは「特別受益」にあたると主張しています。

 

これに対して兄は、以上のような事実は認めつつも、その具体的な金額については、全く開示せず、資料も提出せず、家裁の調査官の調査にも応じません。今回のような場合、私の特別受益の主張は認められないのでしょうか。

 

大学費用は「特別受益」にならないのか(画像はイメージです/PIXTA)
大学費用は「特別受益」にならないのか(画像はイメージです/PIXTA)


A.被相続人の生前に、生活費や家の購入資金等で被相続人から援助を受けていた相続人がいる場合、その援助はいわば「遺産の前渡し」にあたるとして、特別受益として遺産分割で考慮することになります。

「特別受益を主張する者が証明する責任を負う」が原則

紛争となっている遺産分割協議や調停ではこのような「特別受益」を巡る争いはとても多く、「長男は、家の購入資金を援助されているから、それは取り分から引くべきだ!」
「私は大学に進学しなかったが、兄弟は私立大学の医学部に進学して高額な学費を親から援助されていたのだから、遺産分割で考慮すべきだ!」という主張が展開されることが多いです。

 

このような特別受益の主張については、もし調停、審判で判断される場合には、

「特別受益を主張する者が証明する責任を負う」

ということが原則となっています。

 

ですので、単に「親からお金をもらっていたはずだ」、「だから、もらっている側が明らかにしろ」というだけでは足りず、具体的に、いつ、いくらを、どうやってもらったか、を証拠を持って証明する必要があるわけです。

 

実際の実務では、この証明ができず、結局特別受益が認められないというケースも多いのが事実です。

 

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