地方の不動産物件を広告のなかには、都市部在住の人があまり目にすることのない「珍しい間取り」が掲載されていることがあります。日本は狭い国土にもかかわらず、地方色の強い「ご当地ならではの間取り」が存在するのです。本記事では、日本各地で見かける興味深い間取りと、そんな間取りが生まれた背景を調べてみました。

入口は男女別!?「琉球王朝の歴史」を感じる間取り

 

沖縄の住宅にも不思議な特徴があります。歴史から紐解いていくと、琉球王朝時代の沖縄のポピュラーな住宅スタイルは2棟式で、敷地に向かって右側に客間棟、左側に台所棟が配置されていました。2棟それぞれに入口はありますが、そこに「玄関」という概念はなく、客間棟の入口は男性しか入れず、女性は台所棟のみ出入りできるというルールになっていました。

 

現存する住宅にもその名残はあり、建物は1棟に集約されたものの、右側に客間(その奥に寝室)、左側に台所という歴史的配置は変わらず、玄関も存在しません。未だに男性が右側、女性が左側というルールが残っているのかは不明ですが、機会があれば現地の方々に伺ってみたいものです。

三浦半島近辺、再建築困難な広い一戸建てが多いワケ

 

以前、神奈川県横須賀市で「駅徒歩10分、土地200坪、馬屋付き7LDK一戸建て」という物件が売り出されたことがあります。

 

売買代金は1,000万円と破格の安さです。しかし、馬屋があるとはかなり古い物件であろうと物件概要を見たところ「築年不詳」とのこと。恐らく戦前、または戦後まもなく建てられたものと思われます。

 

土地だけでも割安感があるのでさらに調べてみると、その安さの理由が判明しました。この物件(土地)は公道に接道していないのです。丘の上に立地し、物件までの経路は階段のみ。当然、車は入れないので建て替え・新築も困難です。

 

実は、横須賀市や三浦市が位置する三浦半島にはこういった再建築困難な売り物件が多いのです。

 

三浦半島は平坦地が少なく、海岸線から競り立つように丘陵地が続いています。この格安物件も丘陵地のてっぺんにあり、東に東京湾、西に駿河湾を望む風光明媚な場所にあります。

 

昭和初期、この眺望豊かな高台に惚れ込んだ専業農家が居を構え、生活資材運搬のため馬を飼い、農地で働く小作人のために居室を増築していったのではないかと想像できます。

 

おそらく、この専業農家には後継者がおらず、邸宅はやむなく売りに出されたのでしょう。しかし建物は老朽化が激しく、立地条件の悪さからリフォームや建て替えも困難なため、たとえ安価であってもなかなか買い手が付きません。

 

しばらくしてこの物件は市場から消えましたが、売買成立したのかどうかは不明です。

 

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※本記事は、「ライフプランnavi」に掲載されたコラムを転載・再編集したものです。

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