引き続き「トゥドゥック市」が大きな投資先に
ベトナム側の一昨年からの不動産市場の傾向として、土地や戸建てにシフトを移しているのは明らかであり、前述したトゥドゥック市以外でも、ホーチミン市内の戸建て、土地が高価格であるため、値段が比較的手頃なホーチミン市近郊や周辺省(ドンナイ、ビンズー、ロンアン等々)へと裾野が広がりつつあります。
アパートメント(コンドミニアム含む)に関しては、今年の上半期までは需要が低迷すると思われます。その理由は、短期転売を目的にしたブローカーが銀行からの借り入れ制限により、前資金が準備できず購入ができない点と、現在、市場に出回っている転売物件(ネットで見る限りにおいても)の取引が低迷しており、原価割れで売り出しても契約成立が難しい状況が続いているからです。今後も銀行の貸し渋り・貸し剥がし含めて注意が必要です。
引き続き、外資にとってもベトナム側にとっても、トゥドゥック市は大きな投資先になるでしょう。戸建て、土地に関してはベトナム側がメインになると思われますが、現在、郡から区への格上げが予定されている、クチ、ホクモン、ビンチャイン、ニヤーベは、格上げに伴い、2025年には農地の割合が、クチ32%→4%、ホクモン21%→0.6%、ビンチャイン31%→0.4%、ニヤーベ3%→0.1%になると予想されており、農地から宅地へと増える可能性があります。こちらも今後のホーチミン市の不動産動向を見据えるうえでは目が離せない地区になるでしょう。
魅力的な物件が出回るものの、渡航制限で歯がゆい思い
今年も引き続き、物件の見極めが重要です。昨年までの記事でも再三述べてきたように、投資できる魅力的なプロジェクトが少なく、インカムやキャピタルが期待できる物件も少ない状態です。
とくにインカムにおいては、外国人にとって魅力的な立地であること、あるいは利便性が求められます。しがたって、郊外の物件は価格が安くてもおのずと除外対象になります。キャピタル狙いで郊外の安い物件を狙うのもいいですが、長期で寝かせる覚悟も必要になります。
筆者がお勧めする狙い目は、新規のプロジェクト及び中古物件(外国人購入枠)で、駅近、あるいは駅直物件などの採算が見込める物件、最低でもインカムで実質6%以上、またはキャピタルで1.5倍以上(3年以内)です。該当の物件がなければ無理に購入せず、様子見でいいと思います。
コロナ禍の影響もあり、昨年から外国人権利転売の魅力的な中古物件が多く出回っています。ただし、購入手続きのために当事者がベトナムに入国する必要があり、実質的に入国制限がある現在、海外在住の外国人には購入が難しい状況が続いています。
非常に悩ましい状況ではありますが、法規制も含め、せめてコロナ禍だけでも来越せずに購入できる手立てがないか、現地不動産業者は筆者を含め、関係各位調査確認中です。いい結論が出ればお知らせしたいと思います。
先も記載したように今年もベトナム不動産はじっくりと見極めながらの投資になるでしょう。
【参考・一部数値出所】
2020年9月2日付:Vietnam Investment Review "New city proposal to breathe life into investing prospects"
2020年11月23日付:vnexpress.net "3 điểm nóng mới của thị trường bất động sản"
徳嶺 勝信
VINACOMPASS Co., Ltd.
General Director
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